自衛隊は軍隊に他ならぬ

北尾 吉孝

所謂「わが軍」発言を執拗に問題視し続け国会での貴重な審議時間を浪費してきた野党に対し、安倍晋三首相は先月30日の衆院予算委員会で「共同訓練の相手である他国軍と対比するイメージで自衛隊を『わが軍』と述べたわけで、それ以上でもそれ以下でもない」「全く問題ないと今でも思っているが、大切な予算委の時間が、こんなやりとりに使われるのならば(今後は)そういう言葉は使わない」と答弁されました。


上記発言を巡り夫々の民主党の国対委員長は、「単なる言葉尻の話ではなく、重要な問題が包含されている…衆議院議員 高木義明氏」「昔なら国会審議が止まり、下手をすると閣僚の首が飛ぶ話だ…参議院議員 榛葉賀津也氏」という言い方をされていましたが、私に言わせれば之まさしく枝葉末節の類であり言葉尻を捉えぐたぐたと議論するのは余りにも無意味だと思います。

本件に関して菅義偉官房長官は「政府見解を踏襲しつつ、(1)軍隊の定義は明確でない(2)今回は外国軍との共同訓練を巡る答弁で、国際的には自衛隊は軍隊だ」とされ、「自衛隊は憲法上は紛れもなく自衛隊だ」「自衛隊は国際法上は軍隊に当たる」と述べられたとの報道もありました。

国語辞書を見ますと、軍隊は「一定の秩序をもって編制された軍人の集団」、は「陸軍・海軍・空軍の総称」、は「兵士で組織された集団」等と書かれており、漢字の意味するところから考えるまでもなく、誰が見ても軍隊に違いない現存の自衛隊を「あれは軍隊ではなく自衛隊だ」と言うのは殆ど意味を為さない詭弁でしょう。

此の「わが軍」ということで例えば池田信夫さんなどは、『自衛隊の予算規模は世界第5位ですから、これが軍隊じゃなかったら世界に軍隊はほとんどありません(中略)。どんな戦争も「自衛」を理由にして行なわれるものです。日米戦争だって「自存自衛」のために行なわれたんだから、「自衛しかしない」といってみても意味がありません。逆に憲法を改正して「軍」という名前にしたところで、自衛隊の中身が変わるわけではありません』との指摘を行われております。明らかに軍隊である自衛隊を軍隊でないという人は、一体如何なる根拠でそう言うのか私には理解不能です。

もっと踏み込んで言えば、要するに「わが軍」の行為自体が憲法違反か否かが追及されるべき問題であって今回の件のような話は、憲法に照らし合わせて云々かんぬんと大袈裟に考えて大騒ぎする程でないでしょう。

これから後、野党各党は軍隊と言って然るべき自衛隊を「わが軍」と言ったなどと瑣末な事柄に目くじらを立てるのでなく、安倍首相も言われていたように「もう少し防衛政策そのものを議論」するとか、「平和憲法」の改正を論じる方が遙かに生産的であると思われ、国会での貴重な時間がこれ以上くだらぬ時間とならぬよう願いたいです。

BLOG:北尾吉孝日記
Twitter:北尾吉孝 (@yoshitaka_kitao)
facebook:北尾吉孝(SBIホールディングス)