まだまだ日本人を野蛮と思っている一部の欧米人

2015年04月06日 08:00

歌手のGACKTさんが、あるフランスのカフェでアジア人と白人では座っていい場所が区別されている様に見え、人種差別の様な体験をしたとネットで発信したのが話題になっています。このニュースを見て、”一部の欧米人は日本文化を欧米文化より圧倒的に格下に見ている”と理解するきっかけとなった、アメリカで生活していた時の体験を思い出しました。

日本国内だけで生活していると、日本人が欧米人から差別される事もあるというのは想像した事もあまりないかもしれません。ですが、日本人のあまり意識しない宗教的な意味合いを含めて、一部の欧米人は日本人を格下と無意識に思っている人もいるようです。


私は、敬虔なキリスト教徒の多いアメリカの南部の田舎で暮らしていた事がありました。その時に、非常に人間的に素晴らしい白人の方に出会いました。何かと私の事も気にかけてくれて、アメリカの生活についても、親切に色々と教えてくれました。

ある時、その白人の人と話していたら、こんな雰囲気の発言が飛び出したのです。

『日本の製品などは素晴らしいし、人間も礼儀正しい。だけど、まだまだ勉強不足だ。その証拠に、キリスト教があんまり信じられてない。日本人がキリストについてもっと学んだら、もっと素晴らしい国になるのに残念だ。』

その白人の方は、こんな事を語りながら、僕に対しては正しい事を教えてあげるから安心しろという言うような雰囲気でした。もちろん、自分の発言が差別的であるとは一切感じていない雰囲気です。ですが、日本人の私にとっては、日本の伝統や文化はキリスト教文明に劣ると言われたも同然です。

私は、この白人の方に不快感を感じるとかではなく、非常に勉強になったと目から鱗が落ちる気分でした。例えば、差別の意識が全くないつもりの日本人だって、南国の裸族の様な人々に対して失礼な事ではありますが、”日本人の生活の方が良く、裸族の人は気の毒だ”と無意識的に裸族の方々の文化を格下に思ってしまう人もいます。神は一人だというキリスト教を信じる欧米人にとっては、キリスト教という正しい神を信じない日本人が”格下”に見えていたのでしょう。それと同じだと思いました。

では、日本の文化が欧米より格下だという本人も気づかなないような意識は、田舎の敬虔なキリスト教徒だけの発想かといえば、私はちょっと違うとおもいます。日本人だって、田舎の人に比べれば都会の人は宗教に無頓着です。そして、自分の事を”無宗教”と考えている人も大勢いるでしょう。しかし、自分を無宗教と思っている人ですら、結婚式の日取りで大安にこだわったり、4という数字は縁起が悪いなどと思っている人もいないわけではありません。

なので、非キリスト教である日本文化が欧米文化より格下であるというような意識は、かなり多くの欧米人の深層心理のどこかに刻み込まれている様に感じます。というわけで、GACKTさんをカフェの後ろにおいやったフランス人にも、本人が意識しているかは知りませんがアジア人は無教養の格下の人々だという価値観があり、店の表に案内するべきでないという意識があったのではないかと私は思います。そして、それが最も顕著に表れている現象が、多くの欧米の一般市民が日本の捕鯨について介入してくる事だと私は思います。

欧米人は、牛を食べるのが大好きです。一方、ヒンドゥー教徒にとって牛は神聖な生き物で決して食べません。この様に、所変われば食文化が違うのは当たり前で、それに良いも悪いも無いはずです。

ですが、欧米人は無意識に自分たちが一番正しく、他の宗教の人々は”格下”と思っています。その結果、ヒンドゥー教の食のタブーを自分たち欧米人が犯す事について、欧米人は”ヒンドゥー教って変わってるな!”という位にしか思っていないはずです。一方、日本人が自分たちが大切にするクジラを食べることについては、”なんて野蛮な人々なんだ!正しい物の考え方を教えなければならない!”と正義感にかられるのでしょう。その結果、欧米の一般市民ですら日本にわざわざ来日して、”イルカを食べるのは野蛮だ!”と日本人に正義感で教えようとするのだと思います。

数週間前のビートたけしのTVタックルで捕鯨の話題になった時、ハーバード大卒のアメリカ人、パックンマックンのパックンさんが”日本人がクジラを食べ続けれいれば、世界から野蛮だと思われる”というような発言をしていました。きっと、パックンさんも論理などを超えて、”欧米は他の文化を決して同列には扱わない”という思っているのではないだろうかと感じました。そして、日本人が捕鯨問題を本気で解決したいなら、反捕鯨活動は”人種差別”や”宗教差別”に近い事であると、アジア各国と足並みをそろえて訴えるしか無いのかもしれません。

さて、これから日本は、日本史の中で経験がないほど、多くの外国人と接する時代になりそうです。そんな時代になるにあたり、外国人の宗教的バックグラウンドからなる思考法に敏感になってみてはどうでしょうか。そうした方が、より円滑に外国人とコミュニケーションが行えるようになるはずです。

※私の著書は「朝日新聞」もう一つの読み方 Facebookで「マスコミもう一つの読み方」というグループを運営しています。そこにコメントを頂いたら、確実に返信いたします。

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渡辺 龍太
ニュースや情報番組などを中心に活動する放送作家

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