企業の採用活動ってなに?

2015年05月14日 05:30
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多くの学生は企業の採用活動のことを知らない。それは採用活動における企業の狙いや意図を知ることである。企業の採用活動は「広報期間」と「選考期間」の2つに分けられる。広報期間に学生に採用活動をしていることを知らしめるのである。


●広報期間が重要である理由
なぜ広報期間が重要なのか?それはテレビCMや新聞広告を見れば分かりやすい。広報は自社をを消費者(お客様)に効果的に宣伝する機会である。広報期間も同じことが言える。企業にとって、学生は採用対象者であると同時に、広報対象者である消費者(お客様)だからである。この期間の採用活動は、実質は広報活動であり、この時期に学生に与えられる情報は「学生を吸引するために意図的に用意された情報」である。

選考に入る前の広報活動中は、企業はどの学生にも丁寧に対応してくれるはずである。このときの学生の態様が選考結果に影響を与えることはない。ところが選考期間に移行すると、企業の対応は大きく変貌する。これは「選考期間」に入ったことを意味しており、学生の言動や行動は、選考結果に大きな影響をおよぼすことになる。この変化は一部の企業だけにあるのではなく、すべての企業に共通した要件でもあることを知らなければいけない。

経営的な視点に立つならば、経験豊かな中途社員を採用したほうが即効性もあり、効果的ともいえよう。経験者は、仕事の内容や流れを短期間で習得し、これまでに培った経験を活かして、能力を発揮する可能性が高い。また、生え抜き社員にはない柔軟な発想を期待することもできる。一方で、新卒採用は人材育成に手間とコストがかかる。就業経験がないから仕事を任せるまでに時間がかかり短期的な成果は期待できない。

しかし、企業は新卒採用を重視する。これは世界的に見ても日本独自の考え方である。理由は次の2つである。
1)企業のビジョンや使命を理解した純粋な社員を養成するため
2)短期的視野ではなく将来を展望した中核となる人材を育成するため
企業の発展を短期的な視野ではなく、長期的視野で考えているからこそ新卒採用を重視する。そして企業は新卒採用活動に多額の予算を投下する。

●採用活動は魅力的な広報の場
採用コストという言葉を聞いたことがあるだろうか?これは、1人を採用するにあたってかかる費用のことである。業種や職種で違いはあるものの、ここ数年の採用コストは、30万円~100万円の範囲ではないかといわれている。

極端なケースでは、1980年代のバブル末期、リクルート社は約1000人の新卒採用数に対して、年間100億円(1人あたり1000万円)に近い予算を投じていたといわれている。その成果が、のちの人材輩出会社として同社のポジションを形成していった要因であるともいわれている。

さて、「広報期間」の重要性を前述したが、学生向けの企業説明会は、企業にとってCMや広告と同じ、いや、それ以上の宣伝効果を得られる場である。例えば、化粧品や食品メーカーがテレビCMをつくるとき、まず企画を練ってキャスティングをして制作に入る。放映の時間帯や回数にもよるが、億単位の膨大な予算が投下されることになる。

テレビCMの時間は短いもので15秒。長いものでも30秒が一般的だ。大量にCM放映をすることで、同じフレーズを繰り返し見聞きさせられて消費者は、無意識にその商品のことが刷り込まれる。ぼんやりテレビを見ているつもりでも、いつの間にかCMを学習させられているわけである。しかし、CM効果を期待するには大量に投下する必要があり、潤沢な予算も必要である。

ところが採用活動はどうだろうか?会社説明会を開催すれば入社希望の学生が、企業が用意する場所にわざわざ足を運んで参加してくれる。そのうえ誰に言われるまでもなくご丁寧に詳しく企業研究までしてくれる。テレビCMはたったの15秒か30秒だが、会社説明会は2時間程度が一般的である。会社説明会は、集まった学生に対して、2時間も広報できるチャンスなのである。

採用活動は企業にとって人員確保以外にも大きな効果が期待できるため、採用コストをかけて多額の予算を投下するのである。採用対象者である学生は、企業にとって消費者(お客様)であることを忘れてはいけない。そして企業の狙いや意図を知り戦略を練りこむことが必要である。

尾藤克之
経営コンサルタント
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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