大阪の住民投票は世論調査を覆すか

2015年05月16日 22:00

どうも新田です。数学が超絶苦手なコテコテの私大文系人間です。ところで、まもなく大阪の住民投票が投票日を迎えるわけですが、今回は公選法の規制が緩いので投票日当日も選挙運動が出来るという海外型の選挙を疑似体験できるオモシロ展開が期待されます。橋下さんが最後の最後でどんなパフォーマンスを見せるのか、この原稿を書いている時点(16日夕刻)では、街頭演説等に注目が集まっているわけですが、昨冬の衆院選と同様、維新にとっては投票日前の世論調査でははかばかしくない情勢が伝えられております。


※最後の訴えが注目される橋下市長(ニコニコ生放送・維新チャンネルより)
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■衆院選に続き「維新劣勢」で投票日へ
新聞業界で規模と正確性に定評がある朝日の世論調査(大阪朝日放送との共同実施)の推移を見ますと、2月時点で「賛成」35%、「反対」44%⇒4月上旬が39%、反対が40%と一時は拮抗しておりました。しかし、選挙戦後半の5月11日時点になると、「賛成」33%に対し、「反対」は43%と再び情勢が開き始めておる次第です。

まー、この調査は、9、10日の先週末、固定電話で聞き取ったもののようで、維新サイドからすれば「若い層を中心に携帯電話しか持っていない層もいるし、無党派は動いてくれるぞ」と巻き返しを図りたいところですが、朝日の調査の記事では、無党派は「賛成」23%、「反対」が40%と、こちらも旗色はよろしくない。世論調査の整合性は「サンプルが年寄り偏重」等とdisられることもありますが、調査する側もそれなりに“公平”なサンプルを集めており、主要全社で同様の結果が出ているようでは、少なくても先週末時点の空気は言い当てていると言えます。

とはいえ、維新の面白いところはやはり組織の無いところ。衆院選の時は橋下さんが「自公に完敗した」と終盤でまさかの敗北宣言を逆ギレ的に行ったことが話題を呼んで、大阪での第1党の座を守った一発カウンターもございました。従来の世論調査では捕捉しきれない、それこそ「携帯電話だけしか持たない」若者層が情勢を逆転できるだけの数が仮にいて、世紀の大逆転となれば日本の選挙史での特筆事例になりそうです。

■渋谷とイギリスに見る世論調査“不測”の事態
組織の無い陣営の逆転勝利といえば先の渋谷区長選もまさにそうでした。ある意味、自民から共産まで大政党を向こうに回して戦った構図としては似ている部分もあるわけですが、長谷部さんも当初の情勢調査では最下位からのスタート。新聞各社の情勢記事も3候補者中3番目に書かれていました。しかし、これは報道されていない情報ですが、政党が選挙中に随時行っていた調査では、日を追うごとに無党派を中心に支持を拡張し、結果は鼻差で逆転勝利した次第でした。私は今回の住民投票に関わっていないので終盤調査の生数字は知る由もありませんが、果たしてどのような動きになっているのか興味深いところです。

そういえば先頃のイギリスの総選挙では世論調査による予測を外したことが話題になりましたね。スコットランド民族党(SNP)が昨年の住民投票で高まった地域ナショナリズムの余勢を得て、大阪の維新並みのローカル存在感を示したのは当たっていましたが、保守党と労働党が痛み分けとなり、どの政党も過半数を取れない「ハング・パーラメント」になるとまで予想されながら、結果は保守党が単独で過半数をゲット。連立与党だった自民党は日本の次世代の党も真っ青な壊滅的結果でございました。

※世論調査の検証報道が相次ぐ英米メディア(英インディペンデント)
150516世論調査報道

非常に興味深い事例であり、日本の選挙でも生かせる知見が得られないか、場合によっては政治・選挙関係者、報道関係者向けの商材コンテンツを作れないかと思い立ちまして、現在、海外メディア事情通のブログ「DON」の管理人で、元全国紙記者のTakosaburou氏のご助力を得て、英米の報道記事や関連情報を収集・分析しております。数日前、Takosaburou氏からもらった速報の翻訳メモを読んでいますと、1992年の総選挙でも外しまくった黒歴史がございまして、イギリス政界では伝統的に2大政党制が長く続いたために昨今の多党化に伴う有権者の不測の動きに対処しきれなかった話といった独特の事情もおありのようですが、おとといの読売新聞の記事でも紹介されたように、「隠れ保守党支持者」の存在が、質問作成者泣かせになっている話などなど、面白い事象がございます。

選挙調査関係者にとって興味深いであろう話としては、「黒歴史」を踏まえた改善策を進めてきたにも関わらず、想定を上回る有権者の流動性があったとアタフタ的な話があり、注意深くヲチしたいところです。

さてコンテンツについては世論調査のプロの方の知見も借りることも検討していまして、今後ある程度の形になりましたら、改めてご紹介、告知をさせてもらえればと思います。

はたして大阪では、報道各社の調査で把握していない「隠れ維新支持者」はいるのでしょうか。日本の選挙史に残る住民投票の結果、大いに注目しています。大阪市民の方、賛否どちらにしても、投票には行きましょう。ではでは。

新田 哲史
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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