「衆知」を集めるのにはどうするか

2015年06月05日 15:21

インターネットは「衆知」を集めるツールとしては画期的なものだ。Wikipediaにせよ、Amazonレビューなどの評価欄にせよ、「なんとか知恵袋」や「教えてなんとか」などの相談コーナーにせよ、すでに大衆のものとなったインターネットによって、多種多様な知識や知的バックボーンを持った人々が、それぞれの知見を提示し、奥の深い議論を展開したり、啓蒙的な知恵を共有したりしている。

これら人類の「リソース」をどう利用するのかは、今後の科学技術の発達には欠かせない視点になっている。先日、米国のワシントンDCで開かれた「The Human Computation Institute」のワークショップでは、人間認知や英知を地球規模でどう集め、いったい何にどう利用するかが話し合われたらしい。実はこうした試みは、すでにいくつか成果が出ている。
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The Human Computation InstituteのHP。アルツハイマー病の因子をクラウドソーシングするプロジェクトなどがあるようだ。


例えば、エイズウイルスを引き起こすタンパク質がどういう立体構造を取るのかを世界各国の研究者らがインターネットなどを使って知恵を集めて解決した、というようなことや、新しい天体を発見するためのヒントなどでは世界中の天文学者が協調して探し始めている、というようなことだ。

記憶容量が大きくなり、通信速度も加速度的に速くなり、端末は世界規模で普及し続けている。今後こうした「衆知」は、例えば精神的に危機的状況に陥った人を見つけて助けたり、社会福祉のシステムを知らない貧困層を導いたり、他言語の機械翻訳や通訳を修正したりすることに利用することが考えられているらしい。しかし、ご多分に漏れず、社会福祉的な方面はビジネスとして成立させることが難しく、上記のような試みには資金的な問題が常に横たわっている。

MIT Technology Review
The Emerging Science of Human Computation


When the color we see isn’t the color we remember
EurekAlert!
情動反応というのは、けっこう融通無碍でとらえどころがない。情動を発動させるためには、何か外界からの刺激が必要だが、それを受信するセンサーとその能力には限界がある。しかし、反応やその情報はほぼ無限なので、生物の脳はいったん自分なりに刺激を咀嚼し、反応しやすい情報や格納しやすい形の刺激として記憶したりしているらしい。この記事では、色の概念も同じで多種多様な色をそのまま我々は記憶しているのではない、と書いている。思惟するすることで「存在」する、と誰かが言っていたが、群青色や瑠璃色、藍色、コバルトブルーという青色の種類は、いったいどうやって我々の脳に入っているのだろう。

The Bible v. the Constitution
SLATE
米国の大統領就任式で、大統領が聖書に手を置いて宣誓するが、あれは別に聖書でなくてもいいらしい。歴代の大統領がすべてクリスチャンだったのでそうなっただけで、もしも米国大統領にイスラム教徒が就任すれば、彼または彼女はコーランを手に宣誓するだろう。仏教徒がなったらどうか、無神論者がなったらどうか、いろいろ考えさせられる。もちろん、米国でイスラム教徒が大統領になれるかどうかは別だ。というわけで、米国ではキリスト教が強い影響力を持ち、政治や司法、行政、教育、マスメディアなど様々な分野に「影を落とす」。この記事では、相変わらず進化論と聖書が戦っている、と書いている。

How do you cancel a football World Cup tournament?
arabian business.com
どこか、スペイン戦争時に共和派がキリスト教会を暴いた際に聖職者たちのスキャンダルがゾロゾロ出てきたことを想起させるようなFIFAの汚職問題だ。1998年のフランス大会でも贈収賄があったらしいし、アイルランドのサッカー協会には逆にFIFA側から金が流れたとか、いろいろ出てくる。賄賂はとりわけ開催地の選定で横行する。日韓共催の大会も最初は日本単独だったのが、途中から韓国が横やりを入れてきた。あのあたりの何やら臭い。この記事では、2018年のロシア大会や2022年のカタール大会でも汚職があったので、ひょっとすると選定のやり直しがなされるかも、と書いている。ロシア大会はちょっと難しそうだが、カタールのほうは現実味がある。過去には2003年に中国で開催されるはずだった女子W杯がSARSのために変更された。しかし、FIFAはもうそれどころではないかもしれない。

Meet Shinzo Abe, shareholder activist
The Economist
いよいよ安倍内閣の経済金融政策が行き詰まり、企業の業績や企業体質の変革、株主との関係構築といった作業がなければ、ガバナンスを発揮できなくなってきた、という記事だ。確かに株価は2万円を超えてウロウロしているが、実態経済にはあまり影響がない。大規模な財政投資を発動し、消費増税を延期したので財政の立て直しは放置され続けている。この記事では、日本の企業にも変革の兆しがあるものの、多くの企業では依然として硬直化した組織がそれを拒んでいる、と書いている。


アゴラ編集部:石田 雅彦


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