自分の人気に自分でトドメを刺した百田尚樹氏

永遠のゼロの百田尚樹さんが、最近、自分の人気に自分でトドメをさしてしまったようで驚きました。

百田氏の不協和音の始まりは、去年11月の百田氏の最新刊、故やしきたかじんさんの闘病生活を描いた殉愛という本の出版です。

この本は、たかじんさんの死の直前に入籍した、32歳年下の妻さくらさんの看病の記録や、たかじんさん本人が残したメモを元に作られた、完全なノンフィクション作品して発売されました。もちろん、百田作品なので読めば感動する作品です。なので、テレビ各局も特集し、初版で25万部という本でした。



しかし、この殉愛という本を巡って、発売直後から様々なトラブルが発生しました。それは、殉愛はノンフィクション作品として発売されているのにも関わらず、妻のさくらさん側に立つ人のみの取材で作られていたのです。そのためか、たかじんさんの長女などが、悪人として描かれていて、長女は百田氏の嘘で名誉が傷つけれられたとして、発売中止などを求めた裁判を起こしています。

私は最初、裁判が行われているというニュースを目にした時、百田氏というベストセラー作家があからさまな捏造を行うはずがないという先入観を持ちました。

というのも、百田氏は小説家デビューする前には『探偵ナイトスクープ』という番組のチーフ構成作家をやっている人物です。この番組の初代MCは上岡龍太郎氏で、視聴者から送られてくる日常の疑問に対して、芸人などがリポーターとなって体当たり主題で答えを見つけてくるという番組です。バラエティ番組とはいえ、非常にドキュメンタリーの要素が強い番組です。

さらに、以前この番組で中途半端に心霊モノを扱った時には、上岡龍太郎氏がブチ切れて『テレビで嘘を流すな!』と途中退席した事もありました。そんな歴史もあるせいか、番組のドキュメンタリーVTRには非常に定評がありました。

なので、ずっとドキュメンタリーをやってきた百田氏が、ノンフィクションにおいて初歩的な部分をもわきまえない捏造などするはずがないと私は思っていました。また、すでに大ベストセラー作家である百田氏が、本を売りたいがために事実の脚色を強めすぎるというのもしないだろうとも思っていました。

いずれにせよ、私が殉愛を読んだのは、たかじんさんのファンだったという理由が圧倒的な理由です。なので、この本を単なるタレント本だと思っていて簡単にサクッと読んだだけです。そのため、亡くなった方のタレント本のケチを付けている人に気持ち悪さを感じ、こんな殉愛に対する感想もブログに書いた事もありました。

しかし、どうやら私は間違っていたようです。実はTwitterで、『#アリゾウ』というハッシュタグアカウントがあります。アリゾウとはアリが集まれば像をも倒すという意味だそうで、殉愛が捏造だと気付いた人々が百田氏を倒すという意味合いがあるそうです。

このアリゾウの人々の活動は、非常に活発です。今月5日のたかじんさんの長女の裁判が行われた翌日には、一時的にハッシュタグランキングでも『たかじん』『殉愛騒動』『アリゾウ』というのが上位を占めていた程の影響力です。

さすがに、そこまで騒動が大きくなっていたので、そのアリゾウの方々が読むべきだと勧めていた、百田尚樹『殉愛』の真実という、殉愛の検証ドキュメンタリー本を読んでみました。今回はタレント本を読む感覚でなく、私の専門であるニュース関係の資料を見るような感覚で読んでみました。すると、どうみても百田氏が明らかに分が悪いようにしか見えない内容でした。

百田さんの手口は朝日新聞の慰安婦問題と、ほぼ同じ手口だと思いました。単にお金が欲しいという女性を、懸命に生きる『被害者的な女性である』あると強調して涙を誘い読者の関心を引く手口です。

以前に、私は著書の「朝日新聞」もう一つの読み方で、朝日新聞がどうやって慰安婦を世界のスターにしたのかという、その手法を細かく説明しました。手前味噌で恐縮なのですが、殉愛は私の慰安婦に関する捏造本のセオリー通りに捏造ストーリーを展開していて、なんだか笑ってしまうほどでした。

さて、こんなネットのアリゾウ活動などでプレッシャーがかかったのか、数日前、百田氏は自分のTwitterアカウントを一般の人が見れないようにしていまいました。そして、非常に多くの一般の方々をブロックしたようです。これは、最近テレビなどの大手メディアに殉愛をキッカケに呼ばれなくなった百田氏は、ついにネットでも居場所を失った事を意味します。

これでは、百田氏は本を書いても、宣伝媒体が非常に限られてしまいます。なので、すでに知名度のある百田氏ですから、いきなりベストセラー作家から陥落するという事はないものの、今後は『大ベストセラー作家』という地位は維持できなそうです。やはり、悪い事すると世の中上手くいかない様です。