高橋洋一先生が民主党を槍玉に挙げてもねぇ……

どうも新田です。先に言っておきますが、民主党の肩を持つために書いているわけではありません。ていうかそんな気が1ミリも無いどころか、マスコットの民主くんがフジテレビのバボちゃん似なので、思い切りあの顔面にサーブをぶちかましたいんですが。さてと、本題の新国立競技場問題は、石原さんが入湯税ならぬ“入都税”を持ち出して、もうますます延焼、このまま安保法制火災とのマッチングで首相官邸を焼き尽くすんじゃないかと思う中で、今度は迫り来る火の手を民主党方面に切り替えて差し上げようとでも思ったのか、高橋洋一センセが現代ビジネスでこんなことを書いて燃えております。


※迷走はいつまで続くのやら(画像はJSCのサイトより)
国立ヘッダー

新国立競技場建設問題
民主党の「信じがたいミス」が諸悪の根源だ!

お、おう。この見出し、煽るねー。目論見通り、朝方アップして19時の時点で「いいね」が2,000を余裕で超えており、編集部もウハウハのアクセス数を叩き出していると推察されるわけなんですが、まあ、高橋センセが言いたいことはここのくだり。

役人の世界で、調査費が予算化したら、基本計画は事実上決まるが、この第2回と第3回の会合あたりと並行して、国立競技場の基本計画や都市計画などは決められ、IOCへの立候補ファイルも作られている。

それと同時進行的に、7月にコンペが実施、11月に新国立競技場のあの斬新な2本のキールアーチ構造のデザインが決定されている。いずれも、民主党政権時代である。この段階までで、新国立競技場改築の方向性はほとんど決まっていたといえる。

民主党はこのあたりの経緯についてだんまりであるが、民主党政権時代に、実際の作業はかなり進展していたはずだ。民主党はデザインを決めただけというのは、実務の流れについてあまりに無知な見方である。

ま、事実としては間違っていないんでしょう。ただ、どうもポジショントークの匂いプンプンの一面的な書き方で、高橋センセに言われましても「お、おう」という気がするのは私だけでしょうかね。

ここのところ総理ご自身も国会で辻元センセへの答弁で「民主党時代に決まったこと」と、おっしゃっているわけですが、このタイミングで高橋センセの論考が出ると実質的な代弁に見えてしまう。

すなわち高橋センセは、第一次安部政権の内閣参事官であり、言わずと知れたリフレ政策推進論者の代表選手、アベノミクス万歳な人なわけですから、形の上で現在は大学の先生として政府中枢から離れているポジションにいるといっても、裏では気脈を通じているように見えるし、連絡してなかったとしても阿吽の呼吸で、総理と同調して民主disりをしちゃってるように見えてしまいます。

まあ、デザイン決定やその後のコスト計算もろもろ初動の手続きに問題があったのは、前政権の失態というのは事実なんでしょうけど、建築資材の高騰を招いたのはそれこそ高橋センセが推奨し、安倍さんが気合いでブーストさせたリフレ政策が要因の一つなのは確かなんだから、今更、“犯人探し”をして政権奪還なんかあり得ない弱小野党へのネガキャンをしたところで、なんだかなぁという印象です。むしろ安倍さんと親しいだけにかえって逆効果。民主党議員や政治部記者ならずとも、ちょっと政治に詳しい国民なら「安倍さんが高橋洋一に書かせやがって」と思うんじゃないかしらね。

とにかく犯人探しより、一刻も早いうちに問題解決へ手を打つことが最優先事項じゃないかしらと思います。

■どんでん返しの前触れか、ただの責任転嫁か
もちろん一段落ついたところで、この大失態の原因究明は必要と思います。森さんとか、安藤忠雄センセとか、JSCが槍玉に上がっていて、野党やマスコミが責任を追求していくことになる展開になるんでしょう。ま、私なんかの素朴な推察では、建築家は芸術家気質なので採算とかコストへの意識が甘く、本来は施工主の側に経営視点からチェックできる人材が必要なところ、文科省やJSCにスタジアム建設に精通した “ファシリティマネージャー”がいなかったのでは、と思うわけですが、はたして。

ただ、この問題そのものを大きく見ていくと、池田先生がおっしゃるように、日米開戦と同じく全体戦略を描いている人間が誰もおらず、「お見合い構造」による不作為連発で、その結果、無謀な計画の自走を止められなかった末の、嗤える悲劇になってきたんじゃないかという印象が強いんですよね。とりあえず、ラグビーW杯まで、マジに時間ないんだったら、池田先生の提案するように、コンペで選外になった2番手の案を使うとか、ラグビーの国立開催はごめんなさいして横浜で代替会場するとか、どっかで決断が迫られるんじゃないかと思うし、安倍さんにとっては傷は浅いうちがいいとも思うんですがね。

あ!もしかしたら民主党政権の責任転嫁にして世間の目をそらした上で、来週あたり「ごめんなさい」するのかしら。それはそれで高等テクな打開策ですが、安倍幕府の筆頭軍師ガースー長官の秘策やいかにという感じです。“頭痛の痛い問題”の今後はどうなりますでしょうか。ではでは。

新田 哲史
ソーシャルアナリスト/企業広報アドバイザー
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