韓国との歴史論争への対処

井本 省吾

日本の世界遺産に対する韓国政府の不当な批判について、日本の外務官僚は「多くの韓国人が”brought against their will”(意に反して連行され)、”forced to work”(強制的に働かされた)」とまったく不適切な発言をしてしまった。「なんと愚かな!」と前回のブログで書いた。

韓国はロビイストを大量動員して、遺産登録に関係する各国の官僚に「日本はどれほど悪辣な行為を働いたか」と、歴史を歪曲、改ざん、誇張し吹聴して回った。ドイツの官僚に対しては「日本の朝鮮人徴用工の扱いはナチスと同様だった」とまで言い放った。

では、日本はどう反論すべきだったのか。

英語をはじめとする外国語と日本の近代史に通暁する泉幸男氏のブログ「Forced to workの稚拙な英語! 韓国との論戦、わたしならこう英語発信する」は、とても参考になった。

今後、外国人に「日本って戦前、韓国人の労働者に対してひどい扱いをしたらしいね。奴隷みたいに虐げたんだって?」と軽蔑の目を向けられたとき、「どうしたら良いだろう」とまじめに考えている方々のために紹介したい。

A certain number of Korean-Japanese workers were legally recruited and obliged to work. They were paid at normal rates as much as other non-Korean Japanese workers.

(一定数の朝鮮系日本人労働者が法にもとづき募られ労働を義務づけられた。彼らは、朝鮮系でない日本人労働者らと同じく、通常の給与を得ていた。)

泉氏は「ここまで言えば、各国の聴衆は「なァんだ」ということになる」とコメントしている。

徴用は「自国民を法に基づいて募った」のであり「朝鮮系であるか否かで差別されず、通常の対価を支払われる」。ここがポイントであり、むしろこれを宣伝する絶好の機会にすべきだった。Korean-Japanese workers といえば、他国の労働者を他国から拉致したわけではないこともハッキリする

素晴らしいと思いませんか。欧米やアジアの人々(主に語学のできる教養のある人々)は日本と韓国の間の歴史についてほとんど知らない。彼らに本当の歴史を知らせ、日本への共感を募ることが大切なのだ。

「でも、朝鮮系の徴用工は低賃金で辛い仕事を強いられていたのではないか」と少し事情に詳しい外国人が質問してきたら、こう答えたい(私は英語が苦手なので、日本語であることを容赦してほしい)

「当時は日本全体が貧しかった。辛い仕事をしなければ日本の発展はなかった。朝鮮は明治時代の終わり(1910年)に日本が併合したが、併合前の朝鮮は日本よりもずっと貧しかった。日本との併合が朝鮮経済を成長させた。もちろん日韓併合は国際法に則って行われ、当時の欧米は皆、併合を支持した」

ここから先は、さらに詳しい歴史を学ばなければならないが、韓国(そして中国)が仕掛けて来る歴史情報戦に対抗するには、まずはこの程度のことを英語で説明できるように、訓練しておくべきだろう。

追記しておけば、ではなぜ、日本の外交官は「多くの韓国人が意に反して強制的に働かされていた」などと言ったのか」と質問されたら、こう答えよう。

「仕事は今でも辛い、苦しいことがあるもので、法律に基づいた仕事であったとしてもforced to work(働くことを強いられている)と感ずることは多い。日本の外務官僚はそこを思いっきり拡大解釈して「韓国人たちは労働を強いられた(forced to work)」と言ってしまったのだ。なぜかって? 世界遺産登録を成功させたかったので、韓国の無理スジの要求を呑んでしまったのだ。役人根性の悪い面が出たのだ」