教育改革と産官学融合 --- 中村 伊知哉

元ITU事務総局長の内海善雄さんが主催する「情報・エレクトロニクス国際戦略研究会」なる集まりがあります。
メンバーは、月尾嘉男さん、坂村健さん、千本倖生さん、立川敬二さん、藤原洋さん、関口和一さん、南場智子さんら、ヤバいかたがたです。
IT系の集まりでは、ぼくは老人扱いされることが増えましたが、ここでは南場さんに次いで下から2番め。おまえも提言を出せと迫られ、であれば以下のとおり若手としての提案を致します。

◯提言
強みを伸ばして、弱みをカバーする。
日本の強みは、中間層・庶民の厚さによる、創造力☓技術力=文理融合の総合力。戦後を支えたハイテク企業群と近年人気のポップカルチャーはこれによるもの。これを伸ばす教育改革を求める。
弱みは土地・天然資源の乏しさと人口減少、そしてトップ人材の薄さ。これをカバーするため、知財重視への構造転換、人材流入の強化と、トップ人材結集による戦略性の向上を図る。
そこで、教育改革と産官学融合を提案する。

1 教育改革

1) 創造性教育
・プログラミング教育の義務化
プログラミング「で」創作する授業を義務教育に導入
・音楽図工の時間倍増
日本文化を支える創造・表現教育を強化
・ 東大にマンガ・アニメ学科を創設
ポップカルチャーの重要性を国として本気で示す
 
2) 教育情報化
・全教科のデジタル学習実現
OECD最下位の公教育投資から、世界一の先端学習環境へ転進
・BYOD/クラウド/SNS/ビッグデータ利用推進
デジタル1人1台達成後のスマート学習を早期実現
・東大入試にPC/ネット利用を導入
教育情報化の重要性を国として本気で示す

3) エリート層拡大
・飛び級の大幅拡大
20代前半で大学教員になる道を開く
・大学/大学院での留学プログラムの必修化
留学促進への大学助成金傾斜配分
・アジア高度人材の流入促進
米国大学志望層の日本の大学での受け入れ拡大とビザ発給の緩和
・ EU人材の流入促進
英仏など旧植民地に力を持つ国の学生に対するプロモーション強化

2 産官学融合

1) 大学プラットフォーム化
・プラットフォーム形成力強化
産学コンソーシアム形成等を担う人材を官が派遣、
MIT Media Lab、Stanford型のコミュニティを形成
・戦略的人材の集結
ノーベル賞を獲得する人材の育成を目指すだけでなく、千本倖生氏、月尾嘉男氏、坂村健氏といった人材を生み、集める

2) 官僚の開放
・国家公務員倫理法の撤廃
内海善雄氏が電気通信事業法の策定、通信自由化を担当課長として主導したのは40代前半だった。新人の中村は委員会の運営を全部任されていた。今40代前半は課長補佐まっただ中で、パワポ作りばかりしており、新人はそのコピーをしている。もっと働いてもらいたい。だが、外に出て民間と交わり、政策をプロデュースしようにも、長い間、萎縮が続いている。空気を替えたい。以上


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2015年7月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。