24時間テレビとアイスバケツチャレンジの違い

2015年08月14日 05:00
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昨年、世界的ブームになったアイスバケツチャレンジ(以下、IBC)を覚えていますか。IBCは、筋萎縮性側索硬化症 (以下、ALS) の研究を支援するため、バケツに入った氷水を頭からかぶるか米国ALS協会(以下、ALS協会)に寄付をする運動です。ALS協会によれば寄付総額142億円、世界で1700万人が参加をして10年分の寄付が数ヶ月で集まったことを明らかにしています。

●内部マネジメントの強化が必須である
ところが募金が増えることは大きなリスクを抱えることになります。今後、内部マネジメント強化の必要性がでてくると思います。募金が集まれば利害が発生し、利害が集まるところには人が集まるものです。そして財務の透明性が求められてくるはずです。今後、7700万ドル(約125円換算として約96億円)をALSの研究や治療法を確立するための研究プロジェクトに充てられるとされていますが具体的なスケジュールが明示されたわけではありません。

非営利団体における募金の透明性は募金大国である米国でも大きな関心事です。かつて一部の非営利団体では、寄付を募りながら法外な給料を事務費・運営費として計上していました。米国最大の日刊新聞である「The Boston Globe」によれば、某非営利団体のトップが自家用飛行機で毎日通勤していたり、幾つかの団体で不透明な予算、会計などが行われていることも明らかになっています。

●24時間テレビとの比較は
24時間テレビの1回辺りの募金を約15億円とするなら、IBCの約15%にあたります。世界で1700万人が参加したチャリティの15%を集金するわけですから集金力は非常に高いといえます。24時間テレビは番組を通じて視聴者に福祉の重要性や意義、障害者のチャレンジを訴求するので、視聴者にとっては教育的かつ啓蒙的な効果が得られることになります。

IBCもALSの認知向上に効果がありましたが、今年は、IBCの話題を聞きません。元々はチャリティで、やったのは芸能人や有名人だし、というのであれば、あまりにも残念です。疾病や福祉に対する意識啓蒙を深めるためにも、継続は重要な要素だと思われます。

なお、24時間テレビは活動の透明性を高めるために、公益法人として認可を受け「事業報告書、決算報告書、事業計画書」の3種類を公開しています。公益法人の場合、事業活動、財産管理 が規制されます。また行政庁の監督を継続的に受けなければならないため会計処理や内部統制に関する事務的負担は少なくありません。

障害者が、人として尊重され障害のない人と同じように、いきいきと生活するためには、周囲の人が障害を正しく理解することが大切です。厚生労働省障害保健福祉施策のHPには次の一文が記載されています。「障害のある人も普通に暮らし、地域の一員としてともに生きる社会作りを目指して、障害者福祉サービスをはじめとする障害保健福祉施策を推進します。また、障害者制度の改革にも取り組んでいます」。

正しい理解を推進し深めていくためには「施策の継続」が大切であることを示唆しているのです。「24時間テレビ」は1978年からはじまり今年で38年目の開催になります。

私はライフワークとしてアスカ王国という障害者支援の活動を続けています。橋本正氏(橋本龍太郎元総理ご母堂)を会長として始めた活動ですが、設立が国際障害者年の1981年なので、今年で34年目の活動になります。僭越ながら社会福祉領域にたずさわる者として、24時間テレビの永年にわたるご尽力に対して心から敬意を表します。

●尾藤克之
ジャーナリスト/経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業の役員等を経て現職。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など。
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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