バブル入社組の苦悩

2015年08月18日 10:47

「オレたちバブル入行組」は半沢直樹シリーズでもおなじみの池井戸潤氏の小説のタイトルでありますが、日経ビジネスが最近特集した「社蓄卒業宣言」にあるバブル入社組の苦悩には注目すべき点が多くあります。挙句の果てに日経ビジネスが銘打った解決策の一つは「オレたち社蓄脱出組」であります。つまり、会社を辞めて独立せよ、ということでしょう。これは日本型企業運営に大きな戦略の転換を促すことになるかもしれません。

バブル入社組を日経ビジネスでは65年-70年生まれと定義しており、現在40代後半から50歳に差しかかるグループであります。最大の特徴が社員数の比率が大きい点であり、大体全社員の6分の1を占める状態となっています。

この層の人事的問題点は偉くなれないということでしょうか?入社人数が多く、ポストが足りないためにライバルを蹴落とし続けてもようやく課長に手が届くかであって部長のイスとなれば余程要領がよいか、リゲインを飲み続けて仕事をしないと無理なのでしょう。

アンケートを見る限りこの層は意外と会社に対して不満を持っており、「出世できなかった」「昇給が思い通りではなかった」「仕事の内容が期待と違った」といった思惑との相違がにじみ出ています。一方で「それでも会社に居残り続けたい」とする人が過半数を占めるのは転職マーケットの厳しさを知ってのことだからでしょう。

バブル入社組が悲惨だったのはバブル経済を学生の時に謳歌し、華やかな社会人生活を期待したことではないでしょうか?いわゆる挫折感が社会人時代をずっと覆っている気がします。私が勤めていた会社でも91年頃にボーナスのピークを迎え、年収もその頃から着実に下がり始めています。入社1年目の冬のボーナスが一番良かったという笑えない話もあります。

更にリストラにコンプライアンス、交際費は激減で出張も必要不可欠なものに限定されました。出張手当を浮かすために格安ホテルに泊まり、夕食代をねん出するのは当たり前です。住宅ローンが重くのしかかり、小遣いは月3万円程度、ワンコインランチで夕食は発泡酒のみ。たまに行く居酒屋でビールをうまそうに飲むという私の知る大手銀行マンのライフスタイルはごく当たり前だったのでしょう。

ある意味、不幸な世代であります。

私は幸いにして92年初頭から海外ですから沈みゆく日本とは別の世界を歩みました。日本が難破船で荒波の中をもがいているとき、私は億ションを売るためにアタッシュケースをもって香港で大々的キャンペーンを張り、住宅の付加価値を常に考えていました。正にイケイケドンドンです。この20数年でついた違いとは前向き、ポジティブ、価値をプラスするという発想でしょうか?日本はその間、価格を下げるためにいかに価値を落とすかに没頭していました。日本の景気がようやく上向きになって見えるこの差とは本来リーダーたる40代後半の人たちのマインドの置き方の相違ではないでしょうか?

私が気になるのは夢は持つもののそこに踏み込めない方々が多いという点です。だからやむを得ず、やりたくない仕事でも安い給与でも我慢して奉仕しています。私なら「一度の人生、そんなところで割り引いてどうするの?」と申し上げたいと思います。

日経ビジネスの「オレたち 社蓄脱出組」とは正に独立出来た人たちのことを指しています。勿論、独立するのに何をやるのか、元手は、リスクは…ということを並べていくと「やっぱり止めた」ということになりかねまん。が、会社から背中を押されて出されてしまった人たちは今までより安い給与でも人に使われることをなぜ望むのでしょうか?手に職、と言いますが、例えば記事にもあった墓石磨きの仕事を始めた人はなかなか勇気があるし、誰もやりたくない仕事だからこそ高収入が得られる結果となりました。

私はその世代の人に一言だけ述べたいことがあります。それは「君たち、そのスーツを脱ぎ捨てろ」であります。クビからぶら下げた身分証明書兼アクセスカードに所属意識を感じて辞められなくなっている甘えがないでしょうか?

社員を何十人も雇う会社をイメージせずにせいぜい奥さんを手元で雇えるぐらいの規模を考えたらだいぶ肩の荷が下りると思います。平均寿命が延びたこの時代だからこそ自分で稼ぐ力を身に着けるべきではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 8月18日付より

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