「抗日戦勝式典」に招かれた、弾圧、汚職の首脳たち

9月3日に行なわれる「抗日戦勝70周年式典」には、主催国の中国を含めると30カ国の首脳が出席すると言うが、首脳が出席する国の大半は「抗日戦争」時には未だ誕生してもおらず、「戦争の勝利」には関係ないはずである。

「類は友を呼ぶ」と言う。そこで、この言い伝えに従い首脳の出席する国の似通った点を統治形態を比較して調べてみた。

比較の参考資料では、エコノミスト誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが世界167ヶ国を調査対象として2年おきに発表する「民主主義指数」の2014年版が便利であった。

この指数は、各国の民主化レベルを総合評価して数字化し、「民主国家」「欠陥のある民主国家」「非民主国家」「独裁国家」に四分類し、更に民主化度の進捗状況に沿って国別にランキングしたものである。

「抗日戦勝70周年式典」に出席する30カ国の首脳の顔ぶれを見て、「似たもの同士の集まりでは?」と疑ったのは正解で、30カ国の中で16カ国が「独裁国家」、6カ国が「非民主国家」7カ国が「欠陥のある民主国家」で、「民主国家」に分類された国は韓国1カ国だけであった。

ノルウエーを民主化度第一位、北朝鮮を世界最下位の167位に評価した「民主主義指数」で30カ国の国別ランクを見ると、

「民主国家」:1カ国
21位 大韓民国 (大統領)
「欠陥のある民主国家」; 7カ国
26位 チェコ(大統領)
30位 南アフリカ(大統領)
40位 ポーランド(下院議長) 
46位 東ティモール(大統領)
52位 アルゼンチン(副大統領)
56位 セルビア(大統領)
61位 モンゴル(大統領)
「独裁と民主の混合政治国家」(非民主国); 6カ国
93位 タイ王国 (副首相)
95位 キルギスタン(大統領)
100位 ベネズエラ (大統領) 
103位 ボスニア・ヘルツェゴビナ(大統領評議会議長)
103位 カンボジア (国王) 
108位 パキスタン (大統領) 
政体D   : 「独裁国家」: 16カ国
117位 アルジェリア (下院議長) 
124位 エチオピア (首相)
125位 ベラルーシ (大統領)
127位 キューバ (国家評議会第1副議長)
130位 ベトナム (国家主席) 
132位 ロシア   (大統領) 
137位 カザフスタン (大統領)
138位 エジプト (大統領)
141位 ミャンマー (大統領) 
144位 中華人民共和国   (主席)
153位 スーダン   (大統領)
154位 ウズベキスタン (大統領)   
156位 タジキスタン (大統領)
157位 ラオス (国家主席)
162位 コンゴ民主共和国 (大統領)
167位(世界最下位) 北朝鮮 (朝鮮労働党書記)

とランクされている(数字は民主化度ランク、職名は出席首脳の地位)。

こうして見ると、中国外務省が八方手をつくして世界167カ国の中から、弾圧、腐敗、虐殺等で悪名高い30カ国の似た者同志の指導者を厳選して招待した努力の跡がよくわかる。

自分の努力だけで、世界有数の腐敗首脳にのし上がる事は並大抵ではないと思い、どのようなDNAの持ち主であるかを悪名高い大量虐殺者リストで調べると、

第1位 毛沢東 (中国)        7,800万人
第2位 ヨシフ・スターリン (ソ連)  2,300万人
第6位 ポル・ポト (カンボジア)   170万人
第7位 金日成 (北朝鮮)       160万人
第8位 李 承晩 (韓国) 少なくとも 120万人
第9位 メンギスツ・ハイレ・マリアム (エチオピア)

とあるように、歴史上のワースト10の中で、6カ国までが今回の式典に出席する首脳の母国の指導者であったが、今回の式典に招かれた首脳の悪業も豊富で、スーダンの独裁者・バシール大統領はこれまで200万人の反政府派を虐殺した疑いで国際刑事裁判所から指名手配されており、6月にはアフリカ連合首脳会議のため南アフリカに滞在中に南アの裁判所が、最終命令が出るまで出国を禁じたが、今回の式典にも招かれた南アのジャコブ・ズマ大統領は、司法当局の出国禁止令を無視してお仲間のバシール大統領を出国させて仕舞った。

そのズマ大統領は、世界で一番ラッキーな元首と言う別名を持つ人物で、これまでも強姦、汚職など数多くの嫌疑をかけられながら罪を逃れ続け、現在も25億円近い公金を自宅の改造に使ったとして刑事訴追を受けている汚職や犯罪の名人である。

女性行脚も派手で、何回も結婚、離婚を繰り返しながら、正式の妻(大抵は同時に4人)との間に出来た子供の数だけで14人、 別の女性との間の子供を加えると23人の子持ちで、その費用は全て公金で補われるため、大統領府には「配偶者部」(Spousal Office)という部署が設置されているほどである。

貧困に苦しむ南ア国民としては、この負担だけでも大変である。

コンゴ民主共和国の独裁者であるカビラ大統領も、反政府派を2年間で500人以上処刑したり、世界一性犯罪が多い国だと言われながら、犯人が軍人だと逮捕しない事を方針としている。

又、カザフスタンの独裁者・ナザルバエフ大統領は、ナチスに真似て自分の都合の良い法律ばかり作り続ける怪物で、ベラルーシの独裁者・ルカシェンコ大統領は、政府を批判するものを次々に逮捕する大統領として欧州でも悪名が轟いている。

出席首脳の中では最大の大物であるロシアのプーチン大統領は、ビル・ゲイツを凌ぐ世界一の富豪だと言う噂に加え、ロシア国内の回教徒を中心にした少数民族の徹底弾圧やプーチン政権を批判していた人物が次々と不審な死を遂げるなど、さすがソ連時代の秘密警察(KGB)出身者らしい活躍振りである。

首脳出席国の中で唯一の「民主国家」に分類された韓国も、歴代大統領が例外なく暗殺、投獄、亡命、自殺、親族逮捕のいずれかの運命に陥る壮絶な国である。

それでも、腐敗規模と言う点では流石の韓国でも勝てない汚職大国の中国は、経済規模では世界第二位でも、腐敗規模は間違いなく世界を制覇している。

日本が犯した侵略が、罪もない膨大な数の中国国民に与えた悲劇に加え、満州開拓の美名に誘われた多くの日本同胞がソ連の不法介入で受けた悲惨さを思うとき、我々日本人も戦争犠牲者への贖罪と反省は欠く事は出来ないが、中国の指導者も「日中戦争終了70周年」の機会を利用して弾圧と不正の大物を一堂に集めた以上、これまで犯した大量虐殺や腐敗への自己批判を続けると同時に、今後は戦後日本に学んで清潔な施政に努力する旨の共同宣言でも発表したら、圧政で苦しんで来た諸国民へのせめてもの贖罪にはなるだろう。

さもなければ、暴力団幹部の会合のように、反社会的集団の集まりに終ってしまう事は間違いない。

2015年8月28日
北村 隆司