今週のEconomistに注目すべき記事が出ている。前の東京支局長は「性奴隷」やら「極右の安倍」などの偏見に満ちた記事ばかり書いていたが、先日の会議で新しいアジア・エディターは「われわれは歴史問題には興味がない」といって話題にもしなかった。
この記事では、台湾国民党の李登輝元総統が「私は日本兵として戦った。台湾が日本に苛酷な支配を受けた事実はない」と語り、馬英九総統が中国の「戦勝70周年式典」に出席することを批判したと報じている。
台湾はもともと親日的だったが、独立派の李登輝氏を追放したあと国民党は中国に接近し、「日本の苛酷な植民地支配」を語り始めた。これは大国になる中国の衛星国家として生きようという方針のもとで、韓国と同じく「歴史問題」で中国と歩調を合わせようということだろう。
この記事は、安倍首相が戦後70年談話で「国際秩序への挑戦者」という表現で中国を暗示したことに注目し、アジアの中で中・韓・台ブロックと日本の対立が深まるのではないかと懸念しているが、「大事なのは歴史ではなく現在の問題だ」。東南アジアで「日本の戦争犯罪」を問題にしている国は一つもない。
歴史問題なるものは、経済大国になった中国がナショナリズムを鼓舞する道具にすぎない。同じように日本を仮想敵にして「負のナショナリズム」で政権を支えている朴槿恵大統領の父も、日本軍の将校だった。彼らが今ごろから歴史問題を偽造しても欧米は相手にしない、とEconomistは冷たく論評している。