シェアビジネスはどう進んでいくのか?

岡本 裕明

ファミマでカーシェアリングが利用できるようになるそうです。料金は15分206円とのことで、チョイ乗りには便利かもしれません。ただいつも気になるのは車のコンディションがどうなのかな、という点でしょうか?バンクーバーでもカーシェアリングは急速な伸びをみせていますが、不満の声も聞こえてきます。ゴミや汚れ、匂いの問題もあります。また、短時間のドライブはカーシェアリングが安いのですが、半日以上乗る場合にはやはりレンタカーの方が優れていると思います。(自分の会社でレンタカー部門があるからそういうわけではないのですが、メリット デメリットは必ずあるものです。)

ただ、シェアビジネスが今後の主流になることは間違いありません。起業するならユニークなシェアをテーマにしたものを立ち上げると面白いでしょう。カナダではシェアルームや間借りから始まり、シェアハウスという形で市民権を得るようになりました。日本でもシェアハウスの建物の規制が少し緩和されるなど時代のニーズに法政が追いかけるような形になっています。

以前、話題を振ったAirBNBでも日本はルールからすれば違反なのに1万件程度はあるとされ、その少なからずを中国人が所有し中国人に貸すというスタイルのようであります。まじめな人ほど損をする、というのはこのことで結局、こちらも緩和の可能性を探っているようです。

なぜ、シェアなのかといえば所有する必要がないと感じ始めたからでしょう。中古は嫌、というイメージが少しずつ変化したそのきっかけはレンタルのDVDやCDではなかったかと思います。なぜなら借りるのは画像や音楽であって誰かが触って使った「物質ではない」からでありましょう。ましてや今、ネットダウンロードやクラウドが普及していますが、これも考え方によってはシェアだと言えそうです。ましてやネットゲームなどは知らない人との対戦を通じた時間とゲーム対戦能力のシェアであります。

こう見るとシェアするものは突き詰めると物質というよりもソフトであったり、画像、配信を通じた「時間そのもの」ではないか、という気がします。だからこそ、コンサートもスポーツも大盛況な時代がやってきたとも言えます。相撲の満員御礼が続き、野球やサッカーの観客が増加し、野外コンサートにはとてつもない人が集まるのであります。

最近バンクーバーにはいわゆるパブとカフェが異様な勢いで増えています。特にかつて人が近づかなかった治安の悪い場所におしゃれなカフェが次々とオープンしているのです。なぜ今さら個人経営のカフェなのか、と考えればチェーン店の画一的な客席ではなく、自分だけのお気に入りの空間を求める客が増え、その店のファン同士が共通の感性を分かち合うということなのでしょう。

先日、友人から共通の知り合いが参加する飲み会があるから来ないかと誘われ、よくわからないまま行ったところ、日本人、カナダ人入り混じりの20-30代が中心の十数名。そのほとんどがお互い知らない者同士ながら、共通点は何か面白いものを見つけたいという点だったと思います。決して名刺が語る各自の人物像ではなく、それぞれがユニークでしっかりした着眼と専門性、キャリアを持っていた集まりだった気がします。

とすれば、シェアするにもお金を出してモノを借りるという発想から自分が何かを持ち合わせていてそれを他の人の何かと組み合わせたい、という帰着点を引き出せるのではないでしょうか?私はネットゲームはやらないのですが、自分とウマが合う人とチームを組んでチーム対抗のゲームなんてあったら流行りそうな気がします。

シェアビジネスはどんどん変化していきます。まだ、これという普遍性はありません。だからこそ、おもしろいくて私のビジネスの中心的テーマとして展開しているのであります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 9月6日付より