軽減税率って何?

2015年09月06日 15:09

2017年4月から消費税率が10%に上がる予定ですが、そのとき軽減税率をもうけるかどうかをめぐって議論が始まっています。これは特定の商品にかかる税率を8%のままにすえおくものいで、たとえば次の図のように「酒類を除く飲食料品だけ8%に軽減する」という案が出ています。

キャプチャ

こういう区分をつくると、ややこしいことになります。たとえば「ペットボトルの水」の税率は8%で「水道水」は10%になりますが、水道水をペットボトルに入れて売ると、どっちになるんでしょうか?

料理を「レストラン」で食べると8%ですが、同じ料理を「居酒屋」で食べると10%です。何万円もするフランス料理のレストランの税率が居酒屋より安いのはおかしくないでしょうか?

一番よくないのは、こういう区別をもうけると「うちの業界は必需品だから税金を安くしてくれ」という圧力団体が、政治家や役所に押し寄せることです。新聞協会は「新聞の税率だけ8%にしろ」といっていますが、インターネットの有料ニュースサイトはどうなるんでしょうか?

ただし所得に関係なくかかる消費税の負担感が貧しい人ほど大きくなるので、財務省は消費税収の一部を貧しい人に払い戻すことを考えています。これは「給付つき税額控除」とかベーシック・インカムという制度に近い考え方です。

すべての人に(たとえば)年間10万円を一律に支給し、所得制限をもうけます。この所得の把握には、「マイナンバー」が使われる予定です。これは所得税の控除と同じですから、負の所得税とも呼ばれ、50年以上前から多くの経済学者が提案しています。

毎日新聞は「バラマキだ」と批判していますが、所得再分配は薄く広くばらまいたほうがいいのです。公共事業は実際にはバラマキではなく、特定の地域だけに巨額のお金を集中的に落とす裁量的な支出です。

給付金は生活保護のような認定も必要なく、所得に応じて出せば働く意欲をそぐこともありませんが、生活保護は厚生労働省の利権なので、こういう公平な制度をいやがります。しかしこれからよい子のみなさんの税負担は増えるので、なるべく公平な税制にしないといけません。その意味で、軽減税率は絶対みとめてはいけないのです。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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