携帯電話料金はもっと安くなる

池田 信夫

きのうの経済財政諮問会議で、安倍首相が携帯電話料金の家計負担が大きすぎると指摘し、高市総務相に料金引き下げの検討を指示した。


上の図(Garbage News)のように、電話料金(その8割は携帯)が家計支出の中で増える一方、世帯消費支出は減っている。その最大の原因は、携帯電話業者が寡占状態になっているからだ。人口6000万人のイギリスでも4社あるのに、日本は3社になってしまった。その最大の理由は、周波数が社会主義的に割り当てられ、競争がないからだ。

それは電波があいてないためではない。地上波局がふさいでいるためだ。次の図は茨城県の周波数割り当てと利用状況だが、たった7チャンネルの放送に40チャンネルも占拠している(G=NHK総合、E=教育、N=NTV、T=TBS、F=フジ、A=テレ朝、V=テレ東)。表の空白の部分が、放送局に割り当てられながら使われていないホワイトスペースである。

Ch 水戸 高萩 筑波

日立 鹿島 山方 大宮 男体 北茨城 竜神平
13 E E
14 N N
15 T T
16 G G
17 A A
18 V V
19 F F
20 G G G G G
21 F F F F
22 T T T T
23 V V V V
24 A A A A
25 N
26 E E E E
27
28
29
30
31 G
32
33
34 N N
35 F
36
37
38 N
39 E E
40 E
41 T N
42 G
43
44 A
45
46 V
47 G
48
49 G
50
51
52


このホワイトスペースを利用する技術はすでに開発されており、アメリカは徐々にUHF帯からテレビ局を立ち退かせる方針だ。今UHF帯で空いている帯域をオークションにかけるだけでも、3兆円以上の国庫収入が入るが、総務省は電波法改正でやることになったオークションを、またやめてしまった。主要国で周波数オークションをやっていないのは、日本だけである。

この他にも、VHF帯でアナログ停波した「跡地」も空いたままだ。ここを使って1000億円の累損を出しているNOTTVも、いずれ撤退を強いられるだろう。こういう帯域をオークションで新しいベンチャーに開放することが、行き詰まった安倍政権の「成長戦略」としてもっとも有望だ。