河野太郎氏を応援する

2015年10月08日 19:34


内閣改造で行革担当相として初入閣し、ブログを非公開にした河野太郎さんが、「そこまでして大臣になりたかったのか」などと批判を浴びているが、何度も河野さんと議論した者として、あえて河野さんを擁護したい。

彼が原発に反対したのは3・11の後ではなく、その前からだ。私も3・11までは反対派だったから、そこまでは似ている。違うのは、そこからだ。世の中では福島事故を「メルトダウン」などと呼んだが、あれはチェルノブイリのように原子炉が崩壊したのではなく、格納容器から蒸気が出ただけで、それほど大きな被害が出るとは考えられなかった。

だから私は「原発のリスクはそれほど大きなものではない」と考えを変えたが、河野さんは変えなかった。これは残念なことで、このとき河野さんが事態を客観的に評価していれば、日本の反原発派も冷静になったと思う。

私と意見の一致する問題もあった。賠償スキームについては、「グッド東電」と「バッド東電」を分離して破綻処理しないと国民負担が果てしなくふくらむという点では、事故の直後から意見は同じだ。

核燃料サイクルは経済的に成り立たないという点でも、彼と私の意見は同じだ。しかしそれを再稼動否定の根拠にする河野さんの論理はおかしい。中間貯蔵はあと50年ぐらいできるので、核燃料プールから中間貯蔵所に移して最終処分地をさがせばいいのだ。

再稼動のルールがないのはおかしいという点でも、彼と私の意見は(田原さんのラジオ番組で)一致した。危険な原発を止めるのはいいが、その根拠が菅首相の思いつきや原子力規制委員長のメモでは困る。法治国家にふさわしいバックフィットのルールが必要だ。

河野さんが「ポストほしさに節を屈した」という批判も、違うと思う。彼は選挙に強いので、閣僚ポストなんか必要ない。「いつも改造のたびに『原発についての意見は変わらないのか』ときかれるが、『変わらない』と答えるとはずされる」と笑っていた。

しかし閣僚にならないとできないこともある。行政改革もそうだし、彼が与野党の国会議員の中で一人だけ主張している年金改革もそうだ。特に原子力については、このままでは環境も経済も悪化するという現実に政権が向き合う必要がある。

安倍政権は事なかれ主義と問題先送りをやめ、法治国家のルールと経済合理性にもとづいて政策転換するときだ。河野さんもブログを閉じたりしないで、そのまま公開して他の閣僚に議論を吹っかけ、政権を活性化してほしい。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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