日本企業はアジアの高齢者市場で発展する

2015年11月15日 09:46

人口減少、少子高齢化で日本の成長力は低下する、といった厳しい見通しが目立つ一方で、ピンチはチャンス、高齢化先進国だからこそ大きなビジネスチャンスをモノにできるという見方も出ている。私も後者に属する。

日本の後を追って韓国、中国、そして東南アジア諸国が急速に高齢化して行くからだ。日本の「経験」とそれに裏打ちされたビジネスが日本で成長、次いで海外でそれを生かす機会がふえるはずだ。

日本の高齢者比率(65歳以上の人口の総人口に対する割合)は今年9月で推計26.7%。これに対してアジア平均は7%強で、日本の1970年ごろ、つまり日本の40年前の水準にすぎない。

だが、7%とは高齢化社会に達したことを意味する。出生率の低下からこれが2035年には14%(高齢社会)に達する見込みだ。日本が14%に達したのは1994年のことだ。

つまり高齢化社会から高齢社会になるまで24年かかった。ところが、アジアではこの期間がもっと短く、今後、日本以上に急速に高齢化が進む国が目立つ。

韓国は高齢化社会の7%になったのは2000年だが、14%という高齢社会にはなるのは2018年と18年しかかからない。同様にシンガポールが17年(1999年→2016年)、タイが23年(2005年→2028年)、ベトナムが17年(2017年→2043年)、最大の人口を擁する中国も24年(2002年→2026年)である。出生率の推移からみて14%に達した後も多くの国は20%、25%に向かって高齢社会の道を進んで行く。日本の後を追って来るのだ。

日本ではすでに高齢者向けのビジネスが多彩に開花している。例えば、ユニ・チャームの高齢者向け紙おむつは日本市場で拡大しているうえ、中国や東南アジアでも急速に浸透している。

ユニ・チャームの担当者はこう語る。「高齢者向けの紙おむつは幼児向けよりも市場が大きい。少子高齢化で子供より高齢者の方がふえるからだけではない。幼児は成長に伴い3歳ぐらいになれば紙おむつが不要となる。高齢者は一度使い出したら、それこそ死ぬまで利用することになる」。

高齢のペットとともに暮らす高齢者も多く、彼らは高齢ペット用の紙おむつも活用している。

エイジングケアの化粧品やサプリメント、高齢者向けファッション、スポーツ用品など日本のきめ細かい高齢者向け商品群は優位性があり、そのままアジアの高齢者市場でビジネスチャンスをつかむだろう。

個別のニーズに即したビジネスという点でも、事業機会は拡大しそうだ。JBプレスで川嶋諭氏が興味深いベンチャー企業を紹介している。題して「高齢化先進国、日本で生まれた話題の急成長産業/保険なしのリハビリに利用者続々、中国から富裕層も」。

2014年2月に会社を設立したワイズ(東京中央区)がそれで、設立して以来、急速に事業を拡大しているという。

理由はリハビリを国の保険制度から切り離し、保険を使わず純粋に民間の事業として始めたことにある。保険を使わずにすべて自費でまかなう分、高額になるが、保険では不可能だったサービスを、個々の患者の症状に合わせ、きめ細かく受けられる点が受けたのだ。

現行の保険制度では、基本的なサービスしかやってくれない。しかも病院の外来ではリハビリの時間が限られ、介護保険施設では症状は人それぞれなのに数人のグループで一緒にリハビリを受けさせられるケースが多く、個々の状態に応じた十分なリハビリを実施することが難しいのだ。

ワイズでは、保険を使わない代わりに、患者一人ひとりのニーズに合わせたサービスを提供する。それが人気を呼んだ。高額と言ってもコストをぎりぎりまで削って料金を1回2時間で1万5000円に設定した。それが評価された。日本人だけでなく早くも中国からも患者が訪れているという。

医療・介護用、重労働用の装着型ロボットを開発しているCYBERDYNEなど、日本には個別ニーズに即した高齢者市場向けのベンチャーは続々誕生している。

こうした企業が日本国内だけでなく、アジアにも、いや、世界へと事業機会を広げることは間違いあるまい。

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