なぜパリはダメ、LGBTのレインボーはよかったか

2015年11月25日 07:01

先日11月13日(金)に、フランス・パリで痛ましい事件があったのは、みなさんご存知と思います。

この事件を受けて、フェイスブックではプロフィール写真をフランス国旗であるトリコロールにして「パリ市民の安全と平和を願う」機能が付きました。
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 – フェイスブック創業者・マーク・ザッカーバーグ氏のプロフィール写真より

このトリコロール機能を見てから、パリの惨事を知る、そのくらいフェイスブックの対応は早かったです。

こうしたフェイスブックの取り組みは初めてのことではありません。 今年2015年6月には、アメリカで同性婚が合法化されたのを受け、LGBT(セクシャルマイノリティ)を表すレインボーにプロフィール写真を変更する機能が実装されました。 
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このときは僕も参加しました。

しかし今回、パリのトリコロールは、参加しようという気にならなかった。 それは直感的なものでした。 けれどもいろいろなことが明るみになるに連れて、後付けながらも少しずつ言語化できるようになってきました。

最初は、パリは明確な敵がいるのに対して、LGBTのケースはそうではない。 あるいは、パリは血が流れているが、LGBTではちがう。 パリは惨事だが、LGBTは祝事などいろいろ考えましたが、いまいちピンと来ません。

そして、時間が経ち、こんな報道が流れてきました。

パリで起きた同時多発攻撃で、仏警察は15日、容疑者の1人としてベルギー生まれのフランス人アブデスラム・サラ容疑者を指名手配した。

 – パリ同時多発テロ ベルギー生まれのフランス人の男を指名手配

フランス司法省は19日、13日夜に起きたパリ同時多発テロ事件の首謀者で、ベルギー国籍のアブデルアミド・アバウド容疑者(27)の死亡を確認したと発表した。

 – パリ同時テロ、首謀者の死亡確認 実行犯2人なお不明:朝日新聞デジタル

驚いたことに、容疑者は自国フランス人や隣国で同じEUの国民でした。 しかしその名前は、あまりその国の人らしい語感ではない。 このときストンを僕の中に落ちるものがありました。

僕の中で、なぜLGBTのレインボーはよくて、パリのトリコロールはダメだったか。 それはLGBTがマイノリティや社会的弱者(という表現は正しいのかな)であるのに対し、パリの事件はそうではなかったということ。 多くの人がトリコロールにすることが、より一層追い詰めることにつながるような気がした、きっとそういう直観でした。

僕はパリどころか、ヨーロッパにも行ったことがないので、推測でしかありませんが、パリであるいはベルギーで、この名前、そしてこの顔で生活することは、よっぽど生きづらかったのではないか。 特に昨今。

月並みですが、もちろん、だからと言って、許されることではない。 けれども、もっともっと追い詰めることになるのではないか、第二、第三のパリを生み出すのではないか。 文字とおり、旗色を鮮明にすることは、そのくらいこわいことです。

ところで、話が変わりますが、今回の事件は、今「テロ」と呼ばれています。 しかし、容疑者(のひとり)が自国籍というのを聞いて、これは戦争なのか内戦なのか、よくわからなくなってきました。

そして一番気になるのは、日本でこういうことが起こるのかどうか。

それについて思い出したのが2つ。

ひとつは、地下鉄サリン事件。 自国民が国内で起こした無差別殺傷事件です。 当時、私は小学生でしたが、少なくとも私の記憶では、一般的にこの事件がテロだとは報じられていなかった。 もちろん、内戦とも。

そして、もうひとつ。 「ワイルド・ソウル


その地に着いた時から、地獄が始まった――。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは、政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す! 歴史の闇を暴く傑作小説。


俺たちの呪われた運命に、ケリをつけてやる――。日本政府に対するケイたちの痛快な復讐劇が始まった! 外務省襲撃を目撃した記者、貴子は、報道者としてのモラルと、彼らの計画への共感との板ばさみに苦悩。一方ケイと松尾は、移民政策の当時の責任者を人質にし、政府にある要求をつきつける。痛恨の歴史を、スピード感と熱気溢れる極上のドラマに昇華させた、史上初三冠受賞の名作。 

この本を知ったのは、ちきりんさんがブログで紹介していたのを見て。

 –官僚は謝らない – Chikirinの日記

そして、興味を持った理由。 それは豊橋には、ブラジルなどから来た日系人がたくさんいること。 彼らは、日本の移民政策などで、送り出された人たちの子どもや孫、そしてひ孫たちです。 つまり、このワイルド・ソウルの背景となっている歴史的なできごとは、今の僕にとって身近なことなのです。

この小説では、日本政府への復讐が「痛快」に書かれています。 もちろん、フィクションです。 しかし、その歴史的背景は、かなりの取材を費やし書かれているように感じます。

奇しくも、ちきりんさんの日記のタイトルが「官僚は謝らない」となっていますが、

この「人減らし政策」において、「北朝鮮は地上の楽園」「南米に移住すればすぐに大農園主」などと騙された人たちの多くは、当時の日本において非常に苦しい立場にいた人だということです。(略)

南米に捨てられた日本の人たちも、多くが山間の痩せた土地の貧農です。1960年代、日本は既に高度成長という靴に片足をつっこんでいた(はずだ)けど、そんな時代にも「この国には全く希望が持てない人たち」がたくさんいて、彼らこそが「夢の国行きの船」に乗り込んだわけです。

「官僚は日本の高度成長を支えた(今は役に立つことやってないけど)」という人がいるけど、「ほんとに?」って思いますよね。人口が多すぎて邪魔。じゃあ、外に捨てちゃえ、てのは「解決策」なのでしょうか?

この小説を読むと、今まで復讐をする人が出てこなかったのは、たまたまなんじゃないかと思います。 日本が恨まれるようなことをやってないかといえば、全然そんなことはない。

そして、最後に。

もし東京で、パリと同じようなことが起こったら、僕はプロフィール写真を日の丸や東京的なものに変えるのかどうか、考えました。

悩みました。 しかし、きっと変えるだろうな、と思います。 自国でそういうことが起こったら、それはマイノリティとか、弱者とかきっと関係なくなってしまうのだろうなぁと思います、きっと。

自分でも矛盾しているような気もしますが、僕の正直なところはそんな感じです。

では。


愛知豊橋・長坂なおと のblog より

プロフィール
長坂尚登|1983年愛知県豊橋市生まれ。
地元の時習館高校卒業後、東京大進学、コンサルティング会社で働き、10年間東京で過ごす。2012年にUターンし、商店街マネージャーとして、豊橋のまちなかを奔走。2013年から内閣官房より地域活性化伝道師を拝命。
2015年商店街マネージャーを退職し、豊橋市議に立候補。新人トップ当選で、現職(無所属)フェイスブックページ

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