重大犯罪の「時効」が無くなったことをご存知ですか? --- 松田 公太

2015年12月05日 13:30

一昨日、 時効が過ぎてから逮捕・起訴されたこと(犯行時の法律が適用された場合)が憲法違反にあたるかどうかの最高歳判決が下されました。

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結果は「合憲」。

この事件は、1997年に三重県のホテルで男性が殺害され、現金約160万円が奪われたというもので、事件から16年後の2013年に被告人が逮捕・起訴されました。

2010年に時効が廃止された後に、「さかのぼって」起訴された初めてのケースでした(犯行時の法律では2012年に時効が完成)。

そもそも罪を犯しておきながら一定期間逃げ切れば裁かれることがなくなるのはおかしいと考える方もいるかと思います。では、なぜ公訴時効という制度があるのでしょうか。

一般的には、時間の経過とともに、①証拠が散逸してしまい冤罪のおそれが増える(アリバイ主張も困難になる)、②処罰感情が希薄化する、③犯人が 社会生活を送って一定の人間関係等を築いてきた事実状態を尊重する必要がある、等が理由として挙げられます。

日本では、これらをもとに明治時代から時効の制度が続いてきました。

皆さんはこれを聞いて素直にその通りだと思えるでしょうか。近年は、なかなか納得できないという人が増えてきたようで、2009年の日経新聞の調査では、罪を許してはいけない、逃げ得は許せないという理由で時効廃止(重大犯罪)に賛成する人が84%でした。

もはや上記の②・③は説得力が薄れてしまっていると言えるでしょう。

その国民の意識の変化に、被害者・遺族への配慮という要素も加わって、2010年に殺人などの時効が廃止されたのです。

今回最高裁で問題となったのは、2010年改正が、施行までに時効が成立していない未解決事件にも「さかのぼって」適用された点です(この改正は異例 の即日施行で、できる限り処罰を広げたいという意図がとても強いものでした)。

それに対して、被告人側から「事件当時は時効が15年だったのに、遡及処罰を禁止した憲法39条に違反する」との主張がなされていましたが、最高裁は、「時効の廃止や延長によって、犯罪行為の違法性の評価や責任の重さが変更されるわけではない」として退け、無期懲役とした1、2審判決が 確定しました。

被告人の言い分も全く的外れとまではいきませんが、遡及処罰の禁止は予測に反し不利益を課することを禁ずる趣旨であると考えると、憲法違反と までは言えないと私も思っていました。

法令には、必ず存在理由があります。それは企業でいう経営理念のようなもので、憲法や法律について考えるときには、常にそこに立ち返る必要があります。特に、納得できない制度、難しい問題については、必ずそうしなければなりません。

私は、何かを考えるときは、なぜを5回は繰り返すようにしていますが、法案審議では真っ先に「なぜこのルールがあるのか?」からスタートします。存在理由を検討し、すでにそれが失われている場合には、ルールの変更を考えます。逆に、最初は腑に落ちないようなルールでも、そこまで遡って考えると納得できることもあり、その場合には法案に賛成します。

このような思考は、国会議員でもなかなかできていないことがありますが、誰でもやってみると慣れてきますし、できるようになってきます(私は経営者時代から実践してきました)。

ぜひ、皆さんもそのような癖をつけてみて下さい。
政治に限らず、なんでも深く理解することの第一歩になると思います。

元気会は今後もVoteJapan を使って重要法案を取り上げていきますので、そちらでの参加もお待ちしております!


松田公太宣材

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編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年12月5日の記事を転載させていただきました(アゴラ編集部で画像編集)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。

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