成功したかったら「落ち向こうを張れ」

尾藤 克之
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左:著者の山崎氏、右:編集担当の城村氏。

先日、出版セミナーを開催した際に、関西からユニークな方がお越しになりました。その方は、山崎慶氏。「この本、札束に替えてください」(みらいパブリッシング)の著者であり、稼業出身でありながらも現在は事業家の地位も確立しつつあります。

今回は、山崎氏に事業家を目指そうと思ったきっかけや、短期間で事業を軌道にのせるなかで感じたことなどを中心に伺ってみました。

●USJが人生の転機だった

—稼業を辞めて事業家を目指そうと思ったきっかけは?

山崎慶氏(以下、山崎) 刑事ドラマ見たことありますよね。取り調べは、取調べ担当の刑事と書記役の2人でおこなわれます。1人でやってはいけないことになっています。しかし、誰も見ていない場合には結構やりたい放題です。本来、外されるはずの手錠は外されず、目の前に朝ごはんを置かれて、そのまま夜の9時まで取調べが続きます。ご飯を目の前にしてですよ。

私は超ヘビースモーカーなので「せめてタバコでも吸わしたってくれまへんか?」というと、「おおいいぞ!」といって、目の前にタバコを置いてくれます。ところが、「あちゃー、悪いな。タバコがあるけど火がないわ」と吸わせてくれないのです。

拘留中に若い衆が「アニキに言われたので引き上げます」と、勝手に、時計、貴金属、現金などを持ち逃げしたこともありました。実は、その件では、私は別件逮捕でまったく関係なかったのです。私が必死に守ろうとしている組は弁護士ひとり寄こしてくれない。それどころか金目のものを奪っていく。これは考えさせられた出来事でした。

あとは、忘れもしない、2001年4月1日。大阪ではその前日にオープンした、USJのニュースに沸き立っていました。私は留置場でその華々しいニュースを聞きました。「なんで俺はこんなところにおんねん・・・。あほらし。絶対に出たら真っ先にUSJにいったる。絶対に堅気になって事業成功させたる!」と誓うきっかけになりました。

●落ち向こうを張れ

—事業を短期間に軌道にのせるヒントを教えてください。

山崎 ひと言でいうなら、運がない奴、流れをつかめない奴の逆を張ることです。「落ち向こうを張れ」。これは博打の鉄則です。「逆張り」ともいいますが、運がない奴、流れをつかめない奴の逆を張れという意味です。

ビジネスの世界に限らず、目先の利益ばかりを追求して、かえって損をしている人が大勢います。ところがそのことに気がついていません。私は昔、多くの賭博場を仕切っており、極限の人間模様を多く見てきましたが、「逆を張れ」は真理をついた言葉だと思います。

目先の利益ということであれば、私の会社には営業マンがいません。清掃業の会社も「清掃」の結果を見て、次々に仕事が来る会社とこない会社に分かれていきます。幸いにも、会社は営業活動をせずに仕事を頂戴しています。掃除も徹底的に結果にこだわらなければ評価をいただくことはできません。仕事の結果はアピールし過ぎると逆効果なので、全てお客様の客観的な目でご判断いただいています。

—最後にひと言お願いします。

山崎 いまは、株価が回復したとか、景気回復の実感値がわかないとか、色々な意見がありますが、こんな時代だからこそチャンスだと思います。周囲と逆のことをすればチャンスをつかめる可能性が十分にあるからです。

私はマイナスからのスタートでしたが、多くの方には、学歴、経験、ネットワーク、コネなどがありますから、それだけで有利なはずです。私は、ほかと同じことをしていたら人並みにもおぼつかませんが、皆さんには既にアドバンテージがあるのですから可能性は無限大だと思います。

—ありがとうございました。

元稼業だからわかる経営の心理や、お金の稼ぎ方について興味のある方にオススメかも知れません。

尾藤克之
経営コンサルタント