国会議員の「産休」取得状況、男性議員にも前例が !? --- 選挙ドットコム

2015年12月27日 07:00

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クリスマス前日の23日、宮崎謙介衆議院議員(京都3区、自民党)が、妻で2月に出産予定の金子恵美衆議院議員と一緒に子育てをしたいとして「育休」を取得する意向を表明しました。この発言が、賛否両論を巻き起こしています。

朝日新聞によると、宮崎議員は「子供を2人で育てることが大事だ。育休を取ることで、地に足の着いた政策を出せるようになると思う」と語っています。

この発言を受けて、自民党の谷垣禎一幹事長は記者会見で、国会議員は会社員のような「雇用者」ではないとして、この問題について議論が必要とコメントしています。また、民主党の岡田克也代表は24日の記者会見で、国会議員が産休や育児休暇を取得する際にも給与は満額支払われることを指摘しました。(12月24日 産経新聞

今回は、賛否両論、様々な意見が飛び交うこの問題についてまとめました。

国会議員の「産休」取得事情とは?


国会議員に「育休」の規定はありませんが、「産休」については、衆議院、参議院ともに規則で定められています。

衆議院規則185条②

議員が出産のため議院に出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる。

参議院

規則:187条
公務、疾病、出産その他一時的な事故によつて議院に出席することができないときは、その理由を記した欠席届書を議長に提出しなければならない。

もともと、両院には「産休」に関する規則はありませんでしたが、参議院では2000年になって改正されました。きっかけとなったのは同年6月、出産前日まで議員活動をしていた自民党の橋本聖子参議院議員が、参院議長に「出産による本会議欠席届」を提出し、受理されたことでした。これを機に参院規則が改正され、産休が認められることになりました。

衆議院はどうでしょうか。こちらも、20001年9月に水島広子元衆院議員が出産を機に規則が改正されました。現在では、国会議員だけではなく、地方の女性議員についても産休を認める、または認めようという動きがあります。

改めて衆参両院の規則を確認してみると、「議員が出産のために議員に出席できないときは、その旨(理由)を議長に提出」となっています。女性議員の出産を念頭に改正されたのでしょうが、文言上は特に男女の区別はされていません。

宮崎議員が育休を取得する場合、「男性議員では初」と報じられていますが、これについて調べてみると、元衆院議員の山花郁夫氏のプロフィールに「男性国会議員として憲政史上初めて『産休』を取得」との記載がありました。すでに産休を取得した男性議員が存在していたようです。
男性国会議員の育休取得は問題なの?

今年5月、有村治子女性活躍担当大臣は今年5月、全国町村議会長と面会し、女性議員を増やすために産休・育休を取得しやすくするよう要請しています。(5月14日 朝日新聞

11月20日には、高市早苗総務大臣が記者会見の中で、2016年4月に施行される「女性活躍推進法」見据え、「民間をリードする役割を担う」として、地方自治体の女性登用の目標を盛り込んだ行動計画の指針をまとめることを発表しました。同時に「配偶者が出産した際の育児休暇の取得率を把握したい」として、男性の育休取得も推進していくことを明らかにしました。(11月20日 産経新聞

その他にも、出産を経験し、育児と議員の公務を両立している女性国会議員からの発言も活発です。
このように「産休・育休の取得」を推進していく方針が示されているにも関わらず、宮崎議員の発言に批判の声が上がるのはなぜでしょうか。

今回、宮崎議員の発言への否定的な意見では、公人である国会議員という立場が一般社会の「雇用」には当たらないことを挙げています。また、国会議員は年収2,000万円ともいわれる中、休んでいる間も税金から満額の給与が支払われることも批判の原因になっています。

批判がある反面、「まずは国会議員から率先して産休・育休を取得することで、民間もやりやすくなる」といった声もあります。男性議員だから批判されるというより、公人としていかがなものか? ということが、主な原因になっているようです。

これまで産休を取得した国会議員は?


国会議員として憲政史上初めての「産休」取得は、1949年の園田天光光氏です。橋本参院議員は憲政史上2人目の産休取得となりました。以降、これまでの間に9人が産休を取得しています。主な国会議員を紹介します。

2000年 6月 橋本聖子参院議員(比例区、自民党、当選4回)
2003年11月 有村治子参院議員(比例区、自民党、当選3回)
2007年12月 小渕優子衆院議員(群馬5区、自民党、当選6回)
2011年 1月 野田聖子衆院議員(岐阜1区、自民党、当選8回)
2014年10月 吉川ゆうみ参院議員(三重選挙区、自民党、当選1回)
2015年10月 吉良よしこ参院議員(東京選挙区、共産党、当選1回)

規則改正以降、衆参両院それぞれの議員が産休を取得していることが分かります。

議員は男性の仕事!? まだまだ少ない女性議員


現在、女性国会議員は何人いるのでしょうか。
衆議院のHPで公開されているデータを見ると、45人(定数475人、2015年12月22日現在)、参議院は38人(定数242人、2015年12月24日現在)、計83人です。

候補者・当選者ごとに見てみると、衆議院は候補者16.6%、当選者9.5%。参議院は候補者24.2%、当選者18.2%となっています。

1925(大正14)年に男子普通選挙が実現して以降、第二次世界大戦後の1945(昭和20)年まで、女性の政治参加は認められませんでした。その後、1946(昭和21)年の衆議院選挙で、39人の女性議員が誕生しました。(内閣府男女共同参画局サイト

現在、民主党が女性候補者を増やすための取り組みを始めていますが、終戦直後から女性議員の人数はあまり増えていないことが分かります。

これまで安倍内閣では「女性の活躍」を掲げ、また「新三本の矢」を発表した際には、希望出生率を1.8人としました。

しかし民間企業で働く場合、産休の取得が難しく退職するケースも多く、働き続ける場合も育児と仕事の両立が難しいことも少なくありません。男性の育休取得も推進されていますが、一定期間、仕事を休むことや業務の割り振りをどうするかなど、ハードルが高いのが現状です。

宮崎議員の発言により、男性の「育休取得」についての議論が深まるかもしれません。今後の動きに注目していきます。
参照:内閣府男女共同参画局HPより
衆議院議員総選挙候補者,当選者に占める女性割合の推移
参議院議員総選挙候補者、当選者に占める女性割合の推移


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小窓(ペンネーム):Web編集者など
20歳頃から出入りしていた編集部から声をかけられたことをきっかけに雑誌編集者となり、Web編集者に転じる。その後、ひょんなことから取材活動を始める。現在、政治を勉強しながら執筆活動など。猫2匹と同居中。


編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年12月26日の記事『そもそも女性が少ない国会議員の「産休」取得状況、男性議員にも前例が!?』を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。なお、アゴラでは寄稿者は原則実名制とさせていただいていますが、今回は配信元が身元確認の上、契約している筆者であること等を考慮し、匿名原稿を掲載しました。ご了承ください。

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