【映画評】ピンクとグレー --- 渡 まち子

2016年01月15日 06:00

幼なじみで親友の白木蓮吾と河田大貴は、共に芸能界に入り俳優になるが、人気スターへの階段を駆け上った蓮吾に対し、大貴はいつまでも芽が出なかった。やがて二人は決裂し、数年後に再会するが、その翌日、蓮吾が6通の遺書を残して自殺してしまう。第一発見者になった大貴は、一躍世間の注目の的に。憧れだったスターの座を手に入れた大貴だったが、蓮吾の死によって得た偽りの名声に苦しみ、次第に自分を見失っていく…。

人気アイドルグループNEWSの加藤シゲアキの小説を実写映画化したミステリアスなドラマ「ピンクとグレー」。親友同士の二人の青年は、コインの表と裏のような関係で、彼らの共通の幼馴染の少女サリーとの危うい三角関係風の初恋なども含めて、傷つきながら成長する青春映画のようなストーリーだ。だが上映時間119分のこの映画の幕開けから62分、ほぼ中盤に、ある大掛かりな仕掛けがあり、思わず「そうきたか!」と意表を突かれる。虚と実の対比が、タイトルにもなっているピンクとグレーというカラーイメージなのだろうか。それとも、虚実が入り乱れるのは芸能界という独特の世界の暗喩なのか。アイドル原作(NEWSの加藤シゲアキ)、アイドル主演(Hey! Say! JUMPの中島裕翔)の映画にしては、なかなかビターな味わいの作品だが、後半は明らかに失速する。中盤の仕掛けの謎は映画を見て確かめてほしいが、蓮吾の自殺の動機があまりにも弱い。曖昧な理由で曖昧に命を絶つ彼に「お前は生きろ」と言われても、まったく心に響かないではないか。それこそ「しょーもな」である。むしろ、前半の、愚かで純粋な青春という側面が、俳優たちの好演もあって、キラめいていた。若手実力派の菅田将暉の上手さが光るが、サリーを演じる夏帆が、後半、外見も内面もガラリと変わるのは見ものである。
【55点】
(原題「ピンクとグレー」)
(日本/行定勲監督/中島裕翔、菅田将暉、夏帆、他)
(大転換度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年1月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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