「あとほめ」の勧め --- 天野 信夫

2016年01月22日 06:00

学校の先生は、学期ごとに保護者に連絡票を渡します。連絡票には、その子どもの学校での活動状況が記されます。私はよく先生たちに、なるべく「あとほめ」で書くよう勧めていました。「清掃などの取り組みは真面目ですが、学習面の意欲がやや不足しています」と書くよりも、「学習面の意欲はやや不足していますが、清掃などの取り組みは真面目です」と書きます。まったく同じことを言っていますが、力点の置き所はどうしても文の後半になりますので、読む側(保護者や子ども)の受け取りは、後者の書き方のほうがずっと明るく素直になれます。

残念ながら日本の社会では、この「あとほめ」があまり見られません。新聞の社説でも、評論家の見通しでも、街頭でインタビューを受けた人のコメントでもそうだと思います。ただ批判する(けなす)だけか、仮に評価と課題の両方があったとしても、必ずと言ってよいほど、課題点はあとから出てきて力説されます。「あとほめ」はありません。

私たち日本人は、将来に対しても悲観論を好む傾向があるようです。とても用心深い国民性を持っていると思います。日本人の貯蓄率の高さも、その現れかもしれません。否定や悲観の方が思慮深く見えると考えている節もあります。だからいつも暗くなります。子どもたちに自分や自分の国の将来について尋ねても、日本の子どもたちの回答は他の国々の子どもたちの回答より、やはりいつも悲観的です。どう考えても日本の子どもたちの方が恵まれているはずなのに、という国々の子どもたちよりも悲観的です。

大抵のことにはプラス、マイナスの両方があるはずです。もう少しプラスに目を向けたらどうでしょう。そして両方言うなら、なるべく「あとほめ」にした方が明るく前向きになれると思います。精神衛生上もその方がよいはずです。

天野 信夫
無職(元中学校教師)
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