【特集】世界一捕手・里崎智也が語る“セルフ経営術”

2016年02月05日 06:01

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「まず生き残れ。儲けるのはそれからだ」——。そう語ったのは世界的投資家のジョージ・ソロスだが、日本のサラリーマンも「そんな意識高い言葉は経営者向け」と他人事のようにできなくなりつつある。終身雇用が崩壊し、グローバル化とIT化で産業動向が著しく変化。年金制度が破綻すれば、よほどの資産を築かない限り、定年で組織を離れても自分で仕事を探し、作り、一生働いていかねばならない時代になる。

プロ野球選手は、実力と結果を伴わなければ生き残れない世界にいる “個人事業主”。一見サラリーマンの世界と縁遠いようだが、実は、組織の中で自分の強みをアピールし、競争に勝ち残り、時に組織の論理とは別に自分の身を立てている一流選手には参考になる点も多い。言論プラットフォーム「アゴラ」では特別企画として、元ロッテの正捕手で、2006年WBC優勝にも貢献した里崎智也さんに、元球団担当記者の新田編集長が直撃。引退後の今年1月から、ビジネス情報番組「捕手里崎智也のビジネス配球術」=チバテレ(千葉テレビ)、毎週土曜日22:15~22:30=で企業経営者らにインタビューする里崎さんに、“セルフ経営”の極意に迫った。(全2回)
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どの会社も自社ブランドに誇り


——ごぶさたしております。元プロ野球選手がビジネス番組の司会をされるのも異例なことですが、オファーがあった時はどんなお気持ちだったのですか
最初は、「引退後1年で“冠番組”を持つところまで行っちゃうの?」と驚きました。ましてやビジネス番組という発想もありませんでした。それまで何かのプロセスがあったわけでもなく、いきなりのことでしたからね。プロ野球のOBの方々にも例がないですし。

——2009年に担当記者だった時、里崎さんがテレビドラマ「官僚たちの夏」(TBS系)を観ていると話されていて、記者たちの間でも“社会派”の印象がありました。ビジネスの世界には以前から興味はあったんですか?
ドラマは興味があったというか、自分と接点のない知らない分野で、「(官僚機構や政治が)こういう仕組みになっているんだな」と興味を持って観ました。今回、番組をお受けしたのは、野球以外の色んなことに興味もあるのと、ビジネスを勉強してみたいと思ったからです。そんな機会はなかなか無いですし、仕事でお金をもらって勉強できるなんて本当にありがたいことです。

——番組では様々な業界の社長さんたちにインタビューをされています。こういう話を聞いてみたいとか、こういう風に考えているんだなとか印象に残ったことはありますか
当たり前なのでしょうが、自社ブランドに対する自信はすごいですよね。会社の大小に関係なく、自分たちのやっていることとか、言っていることの説得力もありますし、「その自信はすごいな」と。だから熱量が伝わってきます。
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▲番組では「SWOT分析」で企業を紹介する

アスリートと企業~類似点と相違点


——プロ野球選手も自営業者。そうした企業と、成功する選手と共通する要素があるのではないでしょうか。番組では、企業の「強み」「弱み」「機会」「脅威」を整理する「SWOT分析」を使って、社長さんたちが自社を紹介されていますね
スポーツ選手の場合はちょっと違うところがあります。弱いところは普通の選手でも言わない。いいところは結果を出してなくても言う選手はいっぱいいるけど(笑)でも自分のマイナスは言わないですよね。

——確かにそうですね。記者時代、里崎さんが他の記者たちから故障の状態を質問されても「ボクシングの試合前に自分の怪我の話をするボクサーなんていないでしょ」と、かわされていたのを覚えています
戦略的に言わないとか、認めたくないから言わないのもあります。あとはその自分を、下に見られたくないから言わないとかプライドが邪魔して言わないとかも。でも、この番組は「弱み」も言う。弱みを反省材料として、どういう強みに活かすとか、成長に活かしたりするかって、めちゃくちゃ大事だと思います。スポーツ選手は弱みまで分析しきれていない人が多い。でも、自分の弱点をわかっている選手とわかっていない選手には、天と地ほどの差が生まれます。実は、プロ野球選手でも一流クラスになると、しっかり分析していて、自分の弱いところがわかるから必死に練習するんですよ。

——里崎さんもプロ入りから数年は一軍と二軍の往復でした。バレンタイン監督が就任してから一軍に定着されましたが、一軍半から一軍の選手になる過程もそうだったのですか
僕は自分の色をわかること。なにができて、何ができないのか。理想と現実は全然違う。理想を永遠に追っていても、能力がそこに達しなかった場合、一生物事達成できなくて、消えていくんですよ。自分の現実をどこまで受け入れて、それをどこまで長所として活かせるようにしていくかが勝負なんです。大げさに言ったら、打者の一番の理想の完成形は、ストレートを待って変化球も対応できることでしょう。でも、その理想が全員はできないじゃないですか。そうなると配球を読むとか、外れたら三振する覚悟で的を絞っていくか、選択肢に落とさないと仕方ない。しかし、自分のできることをやっていけば、それが個性になって、強みになると思います。

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▲現役時代の里崎さん(Wikipediaより)

——まずは、しっかり強みと弱みを見極めて整理する。欠点をどうカバーしていくか考えることが大切なわけですね
でもね、さっきの話と矛盾するかもしれないですけど、欠点を補おうとするじゃないですか。最初から欠点を補っていくと、つまらない人間になっていくんですよ。平均的な。長所と短所は表裏一体。短所があるから長所があるんです。ところが悲しいかな、無理に短所を引き上げようとすると、長所が下がってしまう。野球に例えれば、ストレートがものすごく早いけど、コントロールに難がある豪速球派の投手に対して、周りから「あいつはコントロールが悪い」と言われる。その投手はコントロールを良くしようとして、球速が下がってしまう。

——長所を消さずに、どうやって短所と向き合えばいいのでしょうか?
僕なら……

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