【特集】“里崎流”セルフプロデュースの核心

2016年02月06日 06:01

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プロ野球ロッテで捕手として2度の日本一に貢献し、引退後の今年1月からビジネス情報番組「捕手里崎智也のビジネス配球術」=チバテレ(千葉テレビ)毎週土曜日22:15~22:30=が始まった里崎智也さんに迫る特別企画。前半は、企業経営とアスリートの共通点・相違点などが挙げられましたが、後半は、一流選手が自分の長所と短所にどう向き合っているのか、そして、自分が活躍できる居場所を確保するポジショニングの重要性について、一般のビジネスパーソンにも参考になる“セルフ経営術”の核心へと入っていきます。

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▲収録前の打ち合わせも軽妙なトークで和ませる里崎さん(左は小林至さん)

長所を伸ばして短所を消せ


——コントロールに難がある速球投手が短所のコントロールを上げようとして長所の球速が落ちてしまう例えを挙げられましたが、里崎さんのお考えでは、長所を消さずに、どうやって短所と向き合えばいいのでしょうか?

僕なら、キャッチャーの立場で「お前、それでいいのか?」と問いかけますね。「短所を認めつつも、長所を生かすようにして短所を補え」「長所を伸ばすことで短所を消す」というのが僕の理論なんです。一番わかりやすいのは、ラミちゃん(アレックス・ラミレス現DeNA監督)。あれだけ打つから、少しくらい守備に難があっても「仕方ない」で認められる。短所が個性に変わるんですよ。でもラミちゃんは晩年、周りから守備のことをとやかく言われるようになった。それは長所である打撃の成績が落ちてきた、つまり長所が短所を埋めきれてなくなったからなんです。

——なるほど。短所を消すくらい長所を伸ばせ、と

でもここからが重要なんです。長所を伸ばせば伸ばすほど自分に余裕が出てきます。野球でいえばチームの中の自分のポジション、つまり「居場所」ができてくるじゃないですか。余裕ができてきた間に、短所を補うか、もしくは違う武器を見つけろというのが僕の考えです。弱みから背を向けてはいけない。背を向ける奴は大成しません。

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自分を客観視し、他人をよく観察する


——そのあたりのお話は、小さな会社が成長して一流の大企業へと伸びていくプロセスと似ていますね。里崎さんのそうした方法論やプロで生き残っていくための思考法が確立されていることが現役時代から印象に残っています

別にプロ野球選手じゃなくても、自分が商品というのは誰でも一緒です。僕なら「里崎智也」という商品を世の中に売り出していくのか一番重要なポイント。そのとき、どういう風にするのか、僕が客観的に僕自身をプロデュースしなければいけない。何が正しくて、何が悪いのか、自分でやっていたことも振り返りますが、ほかの人のやっていることを見て勉強しますよね。反面教師なら「あれはダメだな」とか(笑)人の失敗をよく見ておくことは、自分にマイナスもありませんし、自分が一番勉強できることです。だから僕は、人ばかり見ているんですよ。

——自分の中で「これは取り入れよう」「これはやめておこう」とか仕分けしているんですね

そうです。「こういうのをやってみたら、どうなるかな」「お、あの人やってるよ」「あ、ダメなんだな」というように学べます。あとは、その人が、なぜそのやり方をやっていることも理屈まで理解しないといけない。

——その話を聞いて思い出すのが、里崎さんが一軍定着のために打撃を上達させるきっかけとして、首位打者経験者・福浦和也選手のフォームを徹底分析されたエピソード。それと通じるものがあります

いい人は真似ればいいんです。最初は、真似たとしてもそこから自分流に変えていったらオリジナルに変わるんですよ。真似は損しないし、(やらなかったら)もったいないじゃないですか。タダなんですから(笑)真似ってただなんですよ。

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「強いところより出られるところ」を選べ


——いま千葉商科大学で講師として、現役時代の経験をもとにスポーツに関して幅広く教えていらっしゃるそうですが、学生たちには社会を生き抜いていくための心構えとして、何か教えていらっしゃるのですか

何が正しいかなんてないと思っています。もし指導者になったとしても、「こういう選択肢もあるよ」というのが僕の考え方なんですが、強調していることの一つが「強いところより出られるところ」。

——それはどういう意味なんでしょうか

野球でいえば、強豪校に行っても補欠になるよりは、大学や学校のレベルを落としても、レギュラーになれるところを選べということです。会社でも大企業に行って埋もれるよりは、規模や知名度が劣っていてもその会社でトップに立つくらいの仕事場に行った方がいいです。それが「強いところより出られるところ」ということです。

もちろん一番いいのはそりゃ大企業に入って、エースになることだし、強豪校でレギュラーになること。それが大前提です。でも人間、そんな人ばかりじゃありません。では、大企業や強豪校じゃないから「負け」なのかというと、そうじゃない。死ぬときがゴールとすると、そこに至るまでの過程。能力がそのとき足りなくても、最後巻き返すこともできるわけです。僕自身も進学した当時の帝京大学の野球部は強豪ではありませんでした。

——それでもプロに入って、最後はレギュラーを取って活躍されました

要は強豪校じゃなくても自分の力で強くすればいいんですよ。会社もそう。最初は中小企業でも、そこでエースになれば大企業にヘッドハンティングされるようになるわけです。すると、大企業に移籍したとしても、それまで「エース」でやっていたときのスキルが身についていますから、即戦力で活躍できる可能性が高くなります。でも強豪校や大企業で埋もれていたら、どうでしょう。(定年やリストラ等で)抜けなければならないとき、一段階どころか何段階も(待遇やポジションを)落とさないといけなくなる。見向きもされなくなる可能性もあるんです。実力がついていないウチは無理に背伸びしないことも重要ではないでしょうか。

「里崎智也」はどこへ行く?


——今年で40歳になります。里崎さんなら指導者としての現場復帰はもちろんのこと、野球以外にも活躍の場を広げられそうですが、40代の目標は何かありますか?

短期的な目標は特に置いていません。しかし未来への選択肢は無限です。いまは人脈・知識・視野を広げていく事が大事だと思います。まだまだ第二の人生は始まったばかりで長いですし、里崎は里崎らしく誰しもが通らない道を歩んでいきたいと思ってます!

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▲SWOT分析ボードを手にインタビュアーの新田編集長と


<インタビューを終えて>
記者時代最後の担当だったのが千葉ロッテマリーンズ。退社した2010年はプロ野球史上初めてシーズン3位からクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズも制する劇的な展開。当時、その快進撃が「下克上」と言われたのは、実は里崎さんがスポーツ紙の記者たちにそうコメントしたのがきっかけでした。お会いするのは6年ぶり。いまやテレビ、ラジオで“冠番組”を持ち、持ち前のトークはさらに磨きをかけていました。以前から、キャリア形成やセルフプロデュースに関する独自の考え方は、先の見えない時代に向き合うビジネスパーソンの皆さんに参考になると思い、今回のインタビューをお願いした次第です。野球界以外での経験も積まれた上で、新しいセカンドキャリアのモデルを提示してくれるのではないでしょうか。今後のご活躍も期待しています!

アゴラ編集長 新田哲史

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経営をスポーツに例える!新感覚ビジネス番組
元千葉ロッテ・WBC日本代表の里崎智也と企業のトップによる対談形式・新感覚ビジネス番組がスタート!史上初!?テレビ番組で「SWOT分析」を行います!

出演;里崎智也(元ロッテ捕手・WBC日本代表)、小林至(江戸川大学教授、元ロッテ投手)、高橋友希・アナウンサー(フリー)
http://www.chiba-tv.com/program/detail/1053

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