それでも若手官僚が実名でブログを続ける理由 --- 井上 貴至

おかげさまで、「地域づくりは楽しい」ブログが累計100万ページビューを突破しました。

かつて、経済産業省のキャリア官僚が、「高齢者は早く死ね」等と書いて炎上、停職処分になったこともあるので、官僚が実名でブログを書くことは「リスクではないか」と言われることもあります。

しかし、実名か匿名かの区分に関わらず、社会人として、反道徳的・反社会的なことや、職務上知り得た秘密について発信してはいけないことは当然のことであり、逆にそれを守っていれば、そういうリスクを過度に恐れる必要はないと考えています。

むしろ、実名でブログを続けることは、リスクをはるかに上回るメリットがあります。

〇分析する、考えをまとめる。
視察して、「ああよかったな」では、すぐに忘れてしまいます。徳島県神山町は、サテライトオフィスがあるからいいなぁレベルでは、ほとんど何の意味もありません。何が良かったのか、なぜできたのか、どういう過程だったのか・・自分なりに掘り下げて考えることが不可欠です。

〇分かりやすく伝える。
考えをまとめるだけでは、「日記」でもいいかもしれません。でも、それを分かりやすく伝えること、その努力を続けることで、より考えが深まり、整理されます。

〇名刺代わりになる
分かりやすく伝えるだけならば、ひょっとすると、TwitterやFacebookでも代用可能かもしれません。(僕は、ブログの方が写真などを掲載しやすい・レイアウトを変えやすいので、「分かりやすさ」という観点でもブログの方が優れていると考えています。)

しかし、日々フローとして流れるTwitterやFacebookよりも、ストックとしてのブログには大きな効果があります。それは、積み重ねれば、自分の名刺の代わりになる、そこから「信用が生まれる」ということです。

〇新しい情報や仲間が得られる
情報を発信して、自分のことを理解してくださる人が増えてくると、逆に「井上君、こんな本はどう」「こういう人がいるよ」といろいろな人が声をかけてくれます。新しい情報や仲間が得られる、これは個人が実名でブログを続ける1番のメリットではないでしょうか。

〇人と人とをつなぐ
地域の現場を訪ね歩いて気づいたことがあります。地域には「隠れたヒーロー」がたくさんいるが、地元やその業界のことしか知らないことが少なくないということ。そこに限界があります。

僕が出会った素敵な人同士がつながることで、これまでの限界を乗り越え、新たな力が生まれます。「地域づくりは楽しい」に掲載されている人や事例は「信用できる」、だからこそブログを通じて知った人と一緒に何かやろうという新たな動きです。

今、僕のところには毎日のようにブログに書いた人を「紹介してほしい」という連絡をいただきます。地域のミツバチ.として嬉しい限りです。ブログを通じて、社会を少しでも良くしていきたいです。

このように、実名でブログを続けることは、リスクをはるかに上回るメリットがあると考えています。

ちなみに1番読まれた記事は、2015年の12月に書いたこちらの記事。
Facebookのいいねだけで、12.000を超えました。

★全ての公務員に見てほしい!まちの未来をデザインする市役所(富山県氷見市)
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68278391.html
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その後、昨年は、世界最大のぶりの町・鹿児島県長島町に赴任。寒ぶりの町・氷見市と地方創生に関する協定を結び、「ぶり奨学金」を実現することができました。

★日本の高等教育に大きなうねり「ぶり奨学金」
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68492971.html

これも何かの縁ですね。

地域づくりは公務員の義務でもなければ、苦痛でもありません。本来、とても楽しいことです。そして、楽しいからこそ続けることができます。仲間が広がっていきます。

地域づくりは楽しい」を合言葉に、これからも地域での実践、地域づくりのヒントを伝えていきたいです。そして、社会を少しでも良くしていきたいです。

皆さん、一緒に楽しみましょう!

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<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html


編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年2月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。