参議院は党議拘束をなくすべき --- 松田 公太

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今年、初の憲法審査会が開催されました。
テーマは「二院制」です。

日本を元気にする会では「参議院改革」を一つの目標にしています。
また、私は最終的に「首相公選制」や「一院制」を実現したいと考えていますが、そこに辿り着くには憲法改正が必要となりますし、非常にハードルが高いのは皆さんもご存知の通りです。二院制の形をそれまで取り続けるのであれば、参議院独自の役割を見出して実現し、衆議院のカーボンコピーと言われる状態から脱しないといけないと考えています。

私は、「政局の府」・「数の府」である衆議院に対して、参議院は「再考の府」・「良識の府」でなくてはならないと考えています。

衆議院で数の力によって可決された法案を再度審議し、食い止めたり、「修正等によって、より良いものにしていく」役割があると考えています。しかし、今はその役割を果たしておらず、衆議院で通ったものが、そのまま同じような議論を経て、すんなり同じような形で通ってしまっているのが現状なのです。

この状況を打破するためには、参議院においては「党議拘束」を撤廃するべきだと考えています。
良識を持ち、国民目線に立ち、少数派の考えも熟考した上で、議員ひとり一人が自分の裁量と責任のみで判断する。それこそが参議院に与えられた本来の使命なのです。

「党議拘束」に従って、「賛成」「反対」のボタンを押すだけであれば、ロボットにでも出来てしまいます。このような状況下では、一つ一つの法案を自分の頭で考えることもせず、自動的に採決ボタンを押してしまうような議員も増えてしまうのではないでしょうか。

みなさんに想像して頂きたいと思います。
昨年の安保法制。もし参議院に党議拘束が無かったらどうなっていたか。

様々な対案・修正案等が与野党をまたいで提出されたはずです。与党の中にも反対する議員は多く出てきたでしょう。委員会においても真摯な議論が行われ、少なくともパフォーマンスが中心の流れになることはなかったはずです。1997年の「臓器移植法案」の審議の際は、党議拘束が外されました。その結果、医師会や仏教会などをはじめとする国民的議論にも耳を傾けながら、国会では与野党の垣根を越えて修正案が提出され、可決されたのです。

それでは、どうやって党議拘束を無くしていくか。
その方法については次回以降も憲法審査会で議論していきたいと思っています。
幾つかの具体的な考えがありますので、また後日、皆さんとも共有させて頂きます。

ところで、私の提言に対して「党議拘束を外すような、ユートピアみたいな話をしても意味が無い」と発言された丸山議員。発言が終わったら反論でもしようかとスタンバっていましたが、「日本が米国の51番目の州になったら」「米国は黒人が大統領になっている。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ。はっきり言って」とあらぬ方向に話が膨らんでいってしまったので、反論する余地も無くなってしまいました・・・。意図は違ったのかもしれませんが、他の先進民主主義国家でしたら完全にアウトな発言です。しっかりと説明責任を果たして頂きたいと思います。

しかし、今通常国会の憲法審査会は自民党が極端に敏感になっていて(昨年の反省から)、注意を払っています。

だからこそ、議論が紛糾しないようテーマを「二院制」一本に縛り、静かにやり過ごそうとしているのです。4回の開催が予定されていますが ①参議院と衆議院の関係(昨日終了) ②参議院と内閣の関係 ③参議院の代表機能とその代表原理 ④参議院と政党の関係 と、とても穏やか話ばかりです(私は、もっとオープンに様々なテーマを議論するべきだと思っていますが)。

それでも、このような問題発言が出てしまうのは何故なんでしょうかね。一強多弱のゆるみと無関係だとは言えないと思います。


松田公太宣材


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年2月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。

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