どうなる、シリア停戦

2016年02月19日 10:34

シリア停戦をめぐりアサド大統領派と反体制派が1週間以内を目途に停戦するはずでしたが、どうやら今のところうまくいっていないようです。ドイツミュンヘンで開かれていた17か国3機関が参加する安全保障会議で討議し、2月18日をめどに停戦を目指していました。オバマ大統領がプーチン大統領に電話をかけ、双方の協力についても意見が一致していました。

やはり失敗だったのか、と結論だけを急がない方がよいでしょう。引き続きの対策を期待したいと思います。

シリアを巡る内戦、更にそこに絡むイスラム国はその関係が複雑怪奇でパズルを解くような状態になっています。反体制派を支持するアメリカを中心とする有志連合に対してアサド政権を支持するロシアの闘いが一つ目の構図です。二つ目はイスラム国を巡る姿勢で有志連合、ロシアともにせん滅させることで協調しています。

ただ、ロシアはイスラム国を空爆すると言いながら反体制派を攻めているとされ、これが有志連合との最大の亀裂でありました。その上、トルコの敵であるクルド人が先日も首都アンカラで自爆テロを実行し、28名が死亡したばかりです。このクルド人は2-3千万人規模という世界最大の自国を持たない民族であります。

ミュンヘン安全保障会議は荒れ、ロシアのメドベージェフ首相がいつものように好き勝手な放言でその行方に暗雲が立ち込めていました。会議としては1週間後に停戦を目指すという合意までにはこぎつけ、米ロ首脳の電話会議まで行われましたが、疑心暗鬼だらけということでしょうか?

ロシアはメドベージェフ首相とプーチン大統領がコンビで押し役と引き役を演じることが多く、今回もその流れ通りとなっています。が、もう一点、かなり俎上に乗せられたのがウクライナ問題で東部の親ロシア派の権利をいかに守れるようにウクライナ憲法が改定されるかをロシアの駆け引き材料担っているようです。

こう見るとシリアの問題というより我儘ロシアを巡る二つの問題、ウクライナに端を発する経済制裁とイスラム国のテロの鎮静化をロシアがどうやって自国に好都合な状態に持って行けるのかという絵図ではないでしょうか?

その裏にはやはり長期化する石油価格の低迷がロシア経済を苦しめていることに繋がるのでしょう。ロシアの仲間であるベネズエラが緊急事態宣言となり、今週、4カ国の非公式会談で1月レベルの産油量で凍結方針を打ち出しました。ベネズエラの担当大臣もイランに行き、イランへの説得をしていますが、ロシアが裏で調整をしていることと思います。

シリアからウクライナ、ベネズエラに至るこの一連の流れは脈絡が無いようで全部ロシアでつながることになります。

シリア内戦の事態は動くか、といえば私は最終的には動くと思います。それはアメリカの国益にもつながるからです。アメリカにとって今、団結しなければいけないのはイスラム国を潰すことであります。シリアの体制を巡ってロシアとけんかしている場合ではないことは十分承知しています。難民問題も早急なる対策が必要です。アメリカもテロの危険にされされている中で大統領選を控え、国家はより孤立主義に向かおうとしています。アメリカの本来持つオープンで前向きの政策からは真逆と言わざるを得ません。

原油についてもアメリカのシェールオイルの先行きは厳しさを増しており、大手の一部にも経営不安のうわさが駆け巡るなどその先行きは不透明です。原油価格の一定の水準維持は世界経済にとって最大の関心ごとであり、当然アメリカの国益でもあります。

アメリカ、ロシアという大国はシリアを材料に自国に好都合の外交を導き出すためのギリギリの攻防を続けているともいえます。が、シリアを巡る問題は両国にとっての明白な勝ち負けがないわけで懸案の外交問題はこれをきっかけに動き出してほしい、というのが個人的な望みでもあります。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 2月19日付より

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