AP通信の影山優理記者は「正義」なのか

2016年02月24日 06:03

NYTなど欧米メディアが、朝日新聞の「自白」で慰安婦問題についての報道をトーンダウンさせた中で、AP通信はいまだにsex slaveの記事を世界に配信している。これについて批判されたAP東京支局の影山記者は、こう答えた。

記者は正義で、「APは常に中立的で正確」なので、それを批判する「歴史修正主義」は悪だという。ここまで幼稚なのは珍しいが、安倍政権を「悪」として糾弾する日本のマスコミも似たようなものだ。

ここでは「日本軍は悪だ」という価値判断から、彼らは性奴隷を連行したはずだという事実判断が導かれる。これは宗教の思考様式である。アラーの神は絶対の正義だと信じているから、「イスラム国」は異教徒を平気で殺すのだ。敵は悪なのだから、殺すことが正義と信じて「がんばる」のだ。

近代社会では、正義はこのように先験的に決まらないと考える。複数の人々が「自分が正義だ」と主張するときは、法廷で事実にもとづいてどちらの主張が正しいかを判断する。つまり価値判断は、事実にもとづかなければ正義とはみなされないのだ。

ジャーナリストの仕事は事実を報道することであり、何が正義かを決めることではない。影山記者のいう「日本軍の連行した性奴隷」は、どこにいたのか。その証拠はどこにあるのか。そういう事実の裏づけなしに正義を語るのは、「イスラム国」の妄想と同じだ。

日本のマスコミも、APを笑えない。ここ半年ほどの朝日新聞の紙面は「憲法第9条は正義。がんばる」という類の信仰告白であふれていた。なぜ第9条が正義なのかという論拠なしに、その「背教者」である安倍政権をたたく論理は、「イスラム国」と同じ宗教である。

政治を「右か左か」といったイデオロギーで論じる時代は終わった。慰安婦問題や放射能に関する報道の多くは、単なる嘘である。政権の「言論弾圧」を糾弾する前に、今までの報道を事実に照らしてみずから点検し、まず裏をとって報道するというジャーナリストの基本に立ち返るべきだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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