中学生の数学もできないSIerは滅ぶべき

2016年03月04日 08:00

私もSIer(システムインテグレータ)の端くれではあるのですが、私はそんな業界を内側から変えたいと思い20年近く活動してまいりました。元々、大阪で営業していましたが、2年前に多少の期待を持って東京に出てきました。しかし、期待は裏切られました。東京も大阪と変わらず、タイトルにある通り(多少、大げさですけれど)中学生の数学もできないSIerがほとんどです。

そんな実態について、アゴラはIT技術者でない方もたくさんいらっしゃる場なので、システム開発を木更津から羽田空港までの道順に例えて説明させていただきます。


■ 道順は二通り

大きく分けて、アクアラインを通る道順と、東京湾をぐるっと周る道順の二通りがあります。
※ 下はアクアラインを通る道順(オプションで有料道路を使わなくすると東京湾を周る道順になります)

あなたがタクシーに乗って、木更津から「羽田空港まで」と言ったとき、東京湾をぐるっと周る道順を選択されたとしたら、僅か数万円のことでしょうが相当に怒るはずです。
ところが残念なことに、何億・何十億円という開発費が掛かるシステム開発の現場では、東京湾をぐるっと周る道順に決め打ちされています

金銭面だけでなく、納期もそれだけ余分にかかりますから、ビジネスの変化にシステム開発がついていけない。という問題も起きます。更には、道順が複雑になるために袋小路に嵌り込んでしまうことも増え、精神を壊したり、過労死する技術者が出るという不幸も……。

また、最終的にできたシステムも、回りくどい処理をしているため非常にレスポンスが悪い(いわゆる重い)システムにもなってしまいます。

結果、長期間掛けて遅いシステムを開発し、馬鹿高い開発費を支払っているということに!

つまり、「遠回りするタクシーより何万倍もひどい」ことになっていますが、分からないから誰も怒りださないという状態が続いているのです。

■ なぜ、アクアラインを通らないか?

アクアラインを通るプログラミング手法は、東京湾をぐるっと周る手法とはお作法がかなり違っている上、多少の工夫が必要なのです。

例えば

残高が購入金額の合計額以上あるとき、約定処理を続ける。

という処理を作りたいとき、東京湾をぐるっと周る手法では、

残高 >= 購入金額の合計額

の条件を満たせば良い。

ところが、アクアラインを通るプログラミング手法では、

残高 - 購入金額の合計額 >= 0

と直さないといけない局面もあるのです。

これはご存知の通り、「不等式の移項」という中学1年生で習う数学の初歩中の初歩です。(「不等式の移項」が分からないのではなく、「移項しなければならない」ということに気付かないのでしょうが……)

私は、「悪い薬でもやっているんじゃないか?」と疑われるぐらいビジネスの場で激昂することがあるのですが(苦笑)、なぜそんなに激昂するかというと、お客様から月に100万~300万円以上(給料じゃないですが)貰っている技術者が、上の問題の程度のことを「そんなこと全員ができる訳じゃないからリスクがある」ということで却下するためです(残念なことに本人もできない)。
そんなにひどいことになっていると気付けば、お客様は、私がなぜそこまで怒るのか理解できるでしょう。

■ SIerは変わらない

「うちのシステムはちゃんと動いているから、そんな訳ない」という方も多いでしょう。ちゃんと動くのは当たり前です。東京湾をぐるっと周っても、木更津から羽田空港まで着くのと同じで、システムも余程の袋小路に嵌らない限り完成します。動く動かないの問題ではなく、効率の問題を言っているわけです。

もちろん、全員ができないわけではないのですが、8~9割の技術者(と私は認めないけれど)はできないため、私がどんなに激昂してもSIerの方針は変わりませんし、巨大なシステムで一人だけ勝手な(他と違う)作り方はできません。

私の出番になるのは、袋小路に入り込んで、「悪魔に魂を売ってもとにかく動かして欲しい」という状態になったときだけです。それ以外は、「アクアラインを通れば良い」と分かっていながら、「東京湾をぐるっと周る」システムを作ってきました(発狂するぐらいのストレスです……)。弊社以外で、「最初からアクアラインを通れば良い」という方針のプロジェクトに参加したことは、20年以上やっていても私はありませんから、ほとんどがそうでしょう。

もし、「信じられない」という方がいらっしゃれば、info@g1sys.co.jp 宛にメールをいただければ(フリーのアドレスには返信しません)5分ほどでスキルチェックができる問題をお送りいたします。
(これを読んでたら、肝心の部分を書いてますからできると思いますが……)

恐らく、職位が上位に行けば行くほどできません。

そこが一番の問題なのです。もちろん、上級職が一々プログラミングをする必要はありませんが、アクアラインを通るか、東京湾をぐるっと周るか、という大方針は上級職が決める必要があるのですから、それが判断できるだけのスキルは必要です。

しかし、残念なことにSIerでは、上級職に必要なのはマネージメント力で技術は要らない。とされていて、本当に何もできない上に、前例を踏襲することしかできないサラリーマンです。

「トップの方針が間違っていました」ということも認めるわけには行かないし、方針を変えたらマネージメント方法も前例とは変わり、技術を付ける必要も出てきますから、彼らが変わることは難しいでしょう。

変われる極わずかのSIer以外は、そろそろ滅びると思います。
くどいですが、滅びるようなSIerに頼ってないか、よろしければチェックしてみてください。

■ テクニカルな情報は Software Design にて

IT技術者ではない人に説明するのは非常に難しいのですが、Software Designという技術系の雑誌に連載をさせていただいている原稿を書いているうちに、IT技術者ではない人にも分かる例を思いついたため書かせていただきました。

今回の投稿のテクニカルな解説は、2~3ヶ月先の Software Design に掲載予定です。

株式会社ジーワンシステム
生島 勘富
Mail:info@g1sys.co.jp
Twitter:@kantomi
Web:http://www.g1sys.co.jp/

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生島 勘富
株式会社ジーワンシステム

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