15億円のマンションの価値

2016年03月09日 12:02

六本木ミッドタウンの隣地に出来る44階建ての高級タワーマンションに最高価格15億円(203㎡)の分譲価格がついていることが話題になっているようです。

ぱっと聞く限り「日本にもようやくこういう金額が聞こえてくるようになったのか」という「いま更感」がしないでもありません。一方で、売れるのか、といえばこれは世界水準からすればお得だと思いますので販売には全く困らないはずです。

世界の高額不動産都市の代名詞といえばニューヨーク、ロンドン、香港、シンガポールが上がると思います。その共通点はマネーと人が集まる点であります。ロンドンは旧大英帝国の名残からインド、香港、更には中国人の投資も多く、ロンドンっ子が追い出されてしまうほどと言われています。そのもう一つの共通点は高額マンションは「勝者の城」であって、生き残ることが出来ればそこに居を構え続けることが出来るし、失敗すれば城を明け渡さねばなりません。

そこでは価格が概ね上昇基調を辿るという前提条件が付くことも重要であります。金持ちほど投資に対するリターンに拘ります。みすみす減価するものにお金を投じることはありません。

そんな中、日本はバブル崩壊後、不動産が全般的に高騰するシナリオはありませんでした。理由ははっきりしています。人口の新陳代謝が少ない為です。そして、ほぼ単一民族ゆえの弱点である競争するマインドを失くしてしまいました。いわゆるスタンダードを目指す、という視点です。

ローンで5000万円のマンションを通勤1時間圏に購入するという平均的な優秀サラリーマンは有名デベロッパーが売り出す大規模集合住宅に収まるようになっています。優秀サラリーマンはブランドネームが大好きですからデベの名前で安心感を買うのでしょう。(最近は裏切られることもあるようですが。)また、デベロッパーもあえて競争を煽る様な物件はリスクがあるため作ってきていません。

が、ここ数年、東京の不動産価格が海外の不動産投資家から見れば「安い」という比較論が出て一流の場所に建つ一流の物件に内外からの買いのオファーが急増しています。つまり、今回の高級マンションブームの火付けは海外からのバイヤーにあると思います。確かに相続税対策のタワマン買いもありますが、10億、15億円という常識をあっさり覆すだけの度胸は海外で目を肥やしたバイヤーが主導しやすいかと思います。

ところで15億円のマンション。実は私が1999年にバンクーバーで開発した物件の一部は売り物があれば現在10数億円の価格は優につくはずです。築17年でなぜそんなに高騰するのか、といえば着実な城主の交代と交代ごとのアップグレードによるものかと思います。高額マンションを購入する方はとてつもないない水準の内装工事をする方が多いものです。人によってはほとんど内装をシェルに戻してゼロからやる方もいます。よって私の開発した物件をリセールで購入した方が内装工事だけで数千万から億単位のお金をかけるのも珍しくありません。

それを考えるとミッドタウンと隣接する物件で15億円はお買い得になるはずです。だって「たった15億円」で東京で最高額のマンションに収まれるのですから。野心の強い海外投資家はプレミアムを付けてでも買うかも知れません。では値下がりのリスクはないのか、といえばこのような特殊物件は欲しい人が結構いるものです。買って損はしないでしょう。

ちなみにこれを設計する隈研吾氏。私のバンクーバーの事務所の隣の敷地に開発される42階建てのタワマンの設計者にもなっています。隈氏にとっては初のバンクーバー進出です。バンクーバーはシンガポール同様、建物の外観に凝ったものが増えており、内装も北米では最高のデザイン水準です。隈氏にも刺激一杯かもしれません。その外観はオープンハウスで拝見する限り、敷地面積が狭いこともあり、最近の物件の中では比較的おとなしい外観ではありますが、まぁ、日本を代表する設計者ですから頑張ってもらいたいものです。

最後に、「お前の金銭感覚はずれているのではないか」とご指摘を受けるかと思います。ずれているかもしれませんが、私が買えるわけではない点はあらかじめお断りしておきます。金持ちからすれば、値下がりしない不動産ならゼロ金利時代、高額所得者にとっては実に都合のよいお金の預けどころになるはずです。まかり間違ってもこのような物件を賃貸で回して何%と考えることだけは止めてもらいたいと思います。これは不動産の貴金属なのですから人に貸すのは禁則です。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 3月10日付より

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