ビジネスマンこそ最大の平和主義者

2016年05月02日 06:00

共産党や社民党、及び彼等との共闘路線に大きく舵を切ったかに見える民進党のスローガンを聞いていると、遠い昔に引き戻されるような感覚を覚える。

というのも、「自民党政権は大企業の走狗であり、従って戦争をしたがっている(大企業の利益の為に若者達を戦場に送りたがっている)」と言わんがばかりのプロパガンダを、彼等は白昼堂々と流しているからだ。

こんな事は、遠い昔からの惰性でやっているとしか思えず、時代錯誤が酷すぎて、殆ど正気とは思えない程だ。

歴史を直視すれば「時代が変わった」事が分る

歴史を振り返れば、確かに市場の拡大を求める大企業は自国政府と深くつながり、軍事力で弱小国を威圧して、出来れば植民地化し、それが不可能なら、「不公正な取引条件での貿易拡大」を強要するように策謀した。これが大国の「国益」であり、帝国主義であった。

しかし、第二次世界大戦を境に、この動きは著しく鈍化した。

米国のウィルソン大統領が提唱した「民族自決主義」の追い風も受けて、発展途上国の力が増したし、大国も「露骨な植民地政策の追求は得策ではない」という政策的判断をするに至った。

日本が東南アジアで英仏蘭の影響力を一時的にせよ弱めた事、中近東で英仏が協力の見返りにアラブ諸国に一定の言質を与えた事、米国がスペインなどに圧力をかけ中南米諸国の独立を促した事、等々が、この動きを加速するのに貢献したのも事実だろう。

その一方で、ソ連は、「万国の労働者が団結して、世界中の国が共産主義国になれば、最早『市場拡大のための帝国主義』は存在し得なくなる故、戦争も起こらない」と説き、民主主義と資本主義経済にコミットしていた世界各国でも、多くの人達が「成る程、そうかもしれない」と考えて、これに同調した。

しかし、ソ連の指導者達は「人間の本性は変えられず、プロレタリアート独裁体制は『一握りの権力者の腐敗と更なる権力欲』を必然的に助長し、資本主義体制以上に世界の人々を不幸にする」という実態を露呈してしまった。かくして、ソ連の共産主義体制は崩壊、中国は「共産党一党支配下の資本主義」という「風変わりなハイブリッド体制」を確立した。

丸々一世紀ににわたる共産主義の壮大な実験が失敗に終わった後は、若干修正された資本主義が、「多国籍企業」や「国際金融秩序」を新しい「グローバル・スタンダード」として、世界規模で確立しつつあるのが現状だ。

その一方で、現時点では、全世界でインターネットが急速に普及し、あらゆる情報が瞬く間に世界に広がり、世界中の多くの人達が、どんな事でも自由に発信できる状態になった。現時点では、多くの人達が引き続き「国家の一員」という意識を持つ一方で、至る所で国境の壁は徐々に希薄になりつつある。

誰が戦争(破壊と殺戮)を望み、誰が望まないか?

現代においては、「武力を使えば、望むものが簡単に手に入る」と考える人や国は殆ど存在しないと思う。存在するとすれば、相手が殆ど無防備であり、大国が介入してくるリスクが少ない場合に限られるだろう。

また、ある程度のリスクを踏むケースとしては、その目的は「経済的な利益」というよりは「感情的な達成感(例えば『復讐』とか『宗教的勝利』とか)」である場合が殆どだろう。

大企業であれ小企業であれ、およそビジネスを営む人達は、勿論、徹底的に平和を望んでいるのは言うまでもない。平和でさえあれば、計算した通りの利益が得られるのに、万一戦争が起これば、それまでの全ての努力が水泡に帰するからだ。

現実に、どんな国の企業であれ、ビジネスの相手に対しては、常に礼を持って接し、相手を怒らせない様に気を使っている。(これは「卑屈な迎合」ではなく、「友好関係を維持し、取引を有利にまとめる」為の当然の基本動作なのだ。)

逆に言えば、「戦争をチラつかせた脅迫によって、はじめてビジネスが可能になる」という様な事は、昔と違って、もはや皆無に近いのだから、彼等が「戦争をしたがる」等という事は、どう考えてみてもあり得ない。現実には、他国との平和的な関係が阻害されかねない様な状況に際しては、彼等はそれを何とか阻止しようという行動に出る。

では、どこに戦争(破壊と殺戮)のリスクがあるのか? 大別すれば下記の三つのケースが考えられる。

1)「追い詰められた弱者」が、強者に対して一矢報いたいと強く願うケース。(多くのテロ行為は殆どがこのケースだと思う。ソマリアの海賊なども、他に生きていく術がない為に、あの様な行為に走っているのだろう。)

2)「民族的な誇り」或いは「何かの強い信条」が著しく傷つけられたと考えた人達が暴発し、この人達の歓心を買いたい組織(国家等)が、これを奇貨として、これに迎合するケース。

(かつての軍国日本の行動には、「帝国主義の時代における経済的利益の追求」と並行して、この様な要素も多分に加味されていたと思う。)

3)国内での民衆の不満が高まった場合に、その国の政府が国民の関心を外に外らせたいと願い、「他国から不当な攻撃を受けたので反撃せねばならない」というストーリーを作るケース。

(北朝鮮のケースが典型だが、一歩間違えば中国もそういう事態にならぬとは限らず、これが現在の日本にとっては最大のリスクとなっている。)

平和を守る為には今何をせねばならないか?

上記の様に考えると、現在の日本の左派勢力が流している「反安倍」のプロパガンダが、如何に荒唐無稽で時代錯誤であり、現実離れしているかが分る。

現在の日本が戦争のリスクを最小限に抑えよう考えるなら、第一には、「反テロ」の世界的な体制作りに参加する事が必要であり、第二には、如何なる場合でも「隣国に付け入る隙を与えない事」が必要だ。

後者の方策としては、具体的には、「無防備と思われない事」、及び「下手をすれば第三国(例えば米国)の介入があり得ると考えさせる事」しかないだろう。

逆に言えば、上記の様な「戦争防止の為の具体策」に反対している人達こそが、実は「日本が戦争に巻き込まれる(破壊と殺戮の犠牲になる)」可能性を増大させようとしているのだとも言えない事はない。

平和でなければ毎日の仕事が進められない普通のビジネスマンを含め、如何なる形の戦争も阻止したい人達は、この事を真剣に考えるべきだ。

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