岸田外相、なぜ笑ってるんですか?蘇る“冊封体制” --- 山岡鉄秀

2016年05月04日 06:00

我々はことあるごとに、いかに日本政府の英語による対外発信が不適切で自滅的かを指摘して来た。もうひとつ付け加えなくてはならないことがある。無意味な微笑もまた有害無益この上ない。軽蔑の対象にさえなりうる。4月30日の岸田外相と王毅外相の会談の報道の中で、憮然として反り返る王毅外相の隣で、微笑む岸田外相の写真を見て言葉を失った。

周知のように、この外相会談とは、中国の外相が日本の外相を呼びつけて、厳しく叱責した形となっている。冊封体制の復活である。

  1. 誠実に歴史を反省し、「一つの中国」政策を守れ!
  2. 「中国脅威論」や「中国経済衰退論」をまき散らすな!
  3. 経済面で中国を対等に扱い、各領域で協力しろ!
  4. 中国への対抗心を捨てろ!

これは、一般の中国人から見ても「招待しておきながら、何て無礼な態度だ」と感じるレベルの非礼であることを明記しておく。もともと冊封体制における中国の皇帝とは、朝貢する属国を圧倒する寛容と徳を示して威厳を保つ建前があったはずだが、今回の王毅外相の傲岸不遜な態度は現在の中国が完全に余裕を失っていることを露呈している。

日本人の異常その①

メディアの報道を見て、「岸田外相は一言も反論しなかったのか?」と疑問に思った方も多かったはずだ。自国の外相がどう反応したかが最も重要なポイントなのは当然のことだ。にもかかわらず、我々が見た限りでは、中国側の主張を伝えるばかりで、日本側の反応を詳細に伝える報道は見当たらなかった。日本としてどう応じたかが国益に係わる重大事だというのに、「相手の主張だけを伝える報道」がなぜ許されるのか?反論が無かったのなら、無かったとはっきり伝えなくてはならない。この報道姿勢にも、戦後70年経てもなお「主体性」がない日本人の隷属主義が反映されていることに国民はもっと敏感に反応し、怒りの声をあげなくてはならない。

日本人の異常その②

友好的な関係なら大いに微笑むことも大切だが、敵対的な態度を表す相手に対して微笑むことは、意味不明を通り越して、媚びていると解釈されることがなぜわからないのか?いたずらをして叱られた犬が飼い主に媚びてお腹を見せる行為に通じるものがある。今回は中国側の理不尽な要求に対して即座に反論しながら、にこりともせずに胸を張り、中国に臆しない日本を諸外国にアピールしなくてはならないシーンだったのだ。断っておくが、反論すなわち喧嘩ではない。丁寧に上品な言葉で、しかし的確に切り返すことがより効果的だ。中国にとって会談を決裂させることは不可能なのだ。今回の醜態は、同盟国米国も、日本を頼る東南アジア諸国をも失望させるに十分だった。そして、当の中国さえも、一言も返せない日本の外相を決して尊敬することはなく、むしろ軽蔑しているだろう。日本の国境を一歩出たら、「たとえハッタリでも雄弁に語れる」ことが極めて大切なのだ。

日本人の異常その③

今回、岸田外相が一言も反論しなかったとすれば、それは岸田外相のための反論が用意されていなかったことを意味するのだろう。外務省は、王毅外相が何を主張してくるか事前にわかっていたはずだ。岸田外相がその場で独自に反論できる人ではないことを見越したうえで、反論を用意しなかった。それどころか、「互いに協力するパートナーであり、脅威にならない」と確認させられたという。まるで中国の国益のためにお膳立てしている勢力が日本側に存在することすらうかがわせる。日本は依然として自らの国益を損じて喜ぶ異常な国だ。

外務省にとって最良の大臣は、自分の考えがなく、官僚に誘導されても誘導されていると気が付かない人だと聞かされたことがある。

岸田外相の意味不明な微笑みはそのことを雄弁に物語っている。改めて尋ねる。

岸田外相、なぜ笑ってるんですか?

 

山岡 鉄秀 Australia-Japan Community Network 代表

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