こどもの日の社説、日経以外はスルーしたアノ問題

2016年05月05日 20:00

どうも新田です。「こどもの日」は毎年、新聞各紙が関連のネタで社説を書いてくるわけですが、まず一般紙(読売、朝日、毎日、産経)の見出しはこんな感じです。

(読売)こどもの日 未来切り開く力を育てたい

(朝日)子どもの貧困 学び支え、連鎖断ち切ろう

(毎日)こどもの日 助けての声が聞こえる

(産経)こどもの日 誰もが輝いてこそ祝える

あ、朝日と毎日は日付が変わると会員登録者以外は読めなくなるので、お早めに。

それにしても、つい2日前まで憲法記念日の社説は、まったく真逆の方向を向いていた右派、左派各紙ともども、未来を担う世代に対しては取り上げるネタであったり、方向性が意外なほど相似形を描いております。こどもを巡る問題についても、毎日と産経がともに虐待の問題に記述を多めに割いており、朝日がメインテーマに据えた貧困の問題にしても、読売も言及はしております。

もちろん、これらの問題は非常に重要です。「里親」問題に取り組む、おときた都議が以前から指摘しているように、虐待のように命に関わる重大性がある割に、日本の取り組みが欧米よりも進んでいないのは、政治家にとって「票と金にならない」トピックで後回しになってしまっているからです。

当然のことながら、問題解決へのインセンティブが働かない、政治家や役所のケツを叩くためにも、報道機関がしっかり問題を提起し続けることは重要なんですが、大多数のこどもたちが大人になって直面する社会保障制度に関して、切り込まないというのは、ある意味、もう一般紙の社説など、子育て中の現役世代すら読んでいないから、年寄り向けにわかりやすく、しかも年寄りが喜ばないネタに触れなかったのではないか、いや、そもそも「こどもの日」の社説で社会保障の将来を取り上げるという発想自体が無いのかと疑いたくもなります。。。と思ったら、日経は違った。

(日経)若者と子を見捨てぬ世界と日本に 

少子化が進む日本で忘れてならないのは、社会保障の効率化だ。増え続ける高齢者を支える社会保険料や税の負担が増え続ければ、若者がこの国で暮らすことにますます息苦しさを感じるだろう。先進国で最悪の財政を立て直す必要があるのも、いまの子どもや、これから生まれる将来世代に過大な借金のツケを回さないようにするためだ。日本の子ども・子育て支援などの家族関係支出は、先進国の中でも少ない。社会保障の歳出を組み替え、子ども・子育て支援にもっと予算を振り向けるべきだ。

Oh,ビバ、経済紙!まさに国家の経営視点で書こうという努力、視点がまだ感じられます。ネット上で新聞の論説ネタを書くと、だいたい「新聞にまだ期待しているのか」とか冷笑的な反応がよく返ってくるんですが、永田町・霞ヶ関、各市町村の自治体、議会では、まだまだまだ世論をキュレーションしたメディアは、依然として紙の新聞がスタンダードなんです。つまり、そこで書かれていないことは、事実上、俎上にすらならないと考えてもいい。

本当かと思ったら、一度、永田町の議員会館に地元選出の国会議員の部屋を訪ねてみるといいですよ。全国紙から東京で入手できる地元紙まで、基本すべて購読しています。タイミングが合えば、その先生が関係する省庁所属の一年生官僚とか若い子が、文字通り「おつかい坊や」になって、新聞の関連記事をまとめたコピーを持ってくる場面に遭遇するかもしれません。つまり、いまだに政策決定機関では、紙の新聞が目を通されているわけです。日経以外、スルーされているわけですから、ただでさえ目を背けたい政治家のセンセイたちは、余計に新聞とテレビしか見ないシニア世代の顔色ばかりを伺うでしょう。

そのあたりの現実を見据えた上で、アゴラとかネットメディアや一部媒体で提起される社会保障の将来問題について、永田町界隈の問題意識をどう高めていくか。それこそ毎日新聞社説の見出しが言う「助けて」の声が未来から聞こえてきそうです。さすがに一部の若手議員は認識しつつありますが、参院選の争点では、野党も含めて、お茶をにごして各論から逃げたり、あるいはスルーしたりしている現状についてなんとかしなければならんな、と改めて感じた「こどもの日」でした。ではでは。

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新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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