著者が考える出版のメリット

2016年05月21日 12:54

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僭越ながら私は著者である。運良く8冊ほど上梓することができた。一番最初のオファーは2009年だから約7年前になる。当時は出版不況でもなく比較的容易に出版することが可能だった。8冊の出版機会をいただいた関係者の皆さまには感謝の言葉以外にはない。ある統計では、著者が3冊以上を出せる確率は数百名に1人ともいわれているので非常に幸運だったといえるのだろう。

出版の際にまず必要なことは自己分析をおこない出版企画の構想をすることである。自己分析とは、過去の経験や出来事から価値観などを整理し、志向タイプをはっきりさせて、自分の強みや弱みを明確にしながら軸やパターンを発見することである。しかし、未経験者が卓越した出版企画を構想することは簡単ではない。

それどころか、「自己分析で見つけた強み」という思い込みは、誇大妄想になりかねない。自分の思い込みで掘り下げた自己分析が他者と一線を画するほどのオリジナリティに溢れていることは少ない。これから出版を目指す人は充分に戦略を練ってほしいと考えている。

●出版社へのアプローチ方法

出版社の編集者は多忙である。日々の編集業務に追われており一般的なビジネスパーソンと比較してもハードワークである。それでも、編集者の元には毎日多くの出版企画書が送られてくる。まず編集者がこれらの出版企画書に目を通すことは稀有であると考えたほうがよいだろう。

編集者は新しい著者を常に求めているが、これは編集者や同業者の紹介のみに成立するものであり紹介がない場合は難しい。私も、出版業界のシステムを知らないときには出版社の編集者宛に企画書を送ったことがあったが、けんもほろろで取り付く島もなかった。

私の最初のきっかけは仕事上の紹介である。当時、社会経済生産性本部(現日本経済生産性本部)のコンサルティング部でセミナーや講演を開催しており、出版部門を紹介してもらったことが契機となった。クライアントが出版部門をもっていたことは非常に幸運であったように思う。

初めての著者を目指す場合、知人に編集者がいる場合は有利であるが、単独でのアプローチは簡単ではないことを理解したほうがよい。むしろ機会を逸して時間のムダになるリスクのほうが高いからである。

●販促ツールをもっているか

では企画が成立したらOKかというと必ずしもそうではない。出版不況といわれる所以は本が売れない(売り難い)ことの裏返しでもある。出版社は販売促進(営業活動)の協力まではしてくれない。だから自分で売るための努力をしなければいけない。

会社の社長であれば、社員を動員して購入することが可能である。しかし書店の多くはPOSシステムを導入しており、同一人物が大量に買い込んだり、何回も来店して購入をしても数字にカウントされないことが多い。あからさまな大量買いはクレームやマイナス評価につながるリスクさえある。だから出版社がベンチマークしている書店でコンスタントに売れることが望ましい。しかし1ヶ月を経ても売れ行きが芳しくなければ返品モードに移行する。こうなったら重版出来は難しい。

ネットで拡販する方法もある。Amazonキャンペーンなどは好例だろう。しかしAmazonキャンペーンは瞬間最大風速に過ぎないので出版社によっては評価しないところも多い。ブログも1日に数万PVが獲得できるのであれば効果的だが、一般的なブログに告知をしても効果は限定的だろう。メルマガも大量送信する場合はサーバーに負荷が掛かるので制限がかけられる危険性がある。またスパム扱いされたら相手に届くことは無い。

では何が効果的かというと、まずは有力なメディアに載せることである。しかし、広告であれば「広告」「PR」といった表記や広告主名の記述が必要とされる場合が多いので掲載内容は吟味しなければいけない。出版を実現するにはクリアしなければいけないハードルが多いことを知らなければいけない。

●出版のメリットとはなにか

著者にしか体験できないことがある。著書が書店に平積みや面置きされていることは、自分の名刺が書店に置かれていることと同じ効果がある。著書はお客様を訪問する際、セミナー、勉強会などで名刺と一緒に渡すことも可能である。書店売上ランキングにランキングインすれば快感以外の何者でもない。アドレナリンが一気に噴出される。

著書は信頼を高め自分を効果的にPRするためのツールになるわけだ。そのように考えると、あらゆる職業の方にとって出版は魅力的な施策であるといえるのではないだろうか。

尾藤克之
コラムニスト

<お知らせ>
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講座概要
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場所 Katanaオフィス渋谷(東京都渋谷区渋谷3−5−16 渋谷三丁目スクエアビル2F)
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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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