オバマ米大統領の置き土産は、10万人の雇用創出?

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オバマ米大統領、任期満了を迎えアメリカに新たなプレゼントを用意しています。

年末にかけ、ホワイトカラー・エグゼンプションを緩和する見通しなのです。これまでは管理職、事務職、専門職の3職種で年収2万3660ドル(約260万円)以上の従業員には、残業代が支払われていませんでした。しかし、今後はこの年収の節目が4万7476ドル(約520万円)に引き上げられるため、週40時間以上の労働時間を強いられた従業員に残業手当を得る資格が与えられます。

そもそもホワイトカラー・エグゼンプションに関わる管理職、事務職、専門職とはなんでしょうか?

・管理職→2人以上のフルタイムあるいはパートタイムの部下がおり、採用、解雇、昇進の権限を持つ
・事務職→経理、人事、販売、福利厚生、法務、予算編成など肉体労働ではなくマニュアルに基づかない業務
・専門職→科学、学識、法律、医療、テクノロジーなど裁量と独自の判断が任される業務

基本的に、高収入の職であることが分かります。従って年収が2万3660ドルから4万7476ドルへ引き上げられても、影響しそうにありませんよね?

マット・ボマー、絵に描いたようなトール・ダーク・ハンサム。

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(出所:fanart.tv

しかしゴールドマン・サックスの調査によると、年収の下限引き上げによって2017年に10万人の雇用を創出する可能性があるといいます。

答えは簡単。米国での残業手当はtime-and-a-half、つまり時給の5割増しなんですよ。従って残業代の支払い回避を狙い、新たに人材を採用すると考えられるわけです。まさか従業員の基本給を下げるわけにいきませんし、企業は特に残業手当の対象となりやすい事務職での残業手当の支払い回避に努めるのでしょう。

雇用統計によると、非農業部門就労者数は2015年に約270万人増だったため10万人増なんて大勢を動かす数字ではないですよね。でも、仮に単月で集中的に増加すれば、雇用統計を押し上げる力を発揮するかもしれません。

(カバー写真:emdot/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年5月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。