都知事選、四半世紀ぶりの分裂選挙か

2016年07月02日 06:00

都知事選連載バナーどうも新田です。困りましたね。参院選より都知事選の方がますます面白くなっちゃうじゃないですか。なんですか、この本歌取り的な返しは。やる気が滲み出てるじゃん。

 

(産経新聞)増田寛也元岩手県知事「スカイツリーから飛び降りるくらいの覚悟が必要」出馬の可能性を否定せず

--出馬の可能性はゼロじゃないということか

増田氏「お任せする。要請はないということと、出るには相当の覚悟がいる。小池(百合子)先生は『崖から飛び降りた』というが、私にいわせれば、スカイツリーから飛び降りるくらいの感じがないとダメだと思う。なかなか大変だと思う」

1991年都知事選と似て非なる点

選挙が空中戦で盛り上がるには、マスコミ受けするバズワードが必要ですが、小池さんの掲げたキャッチコピーにクリンチした増田先生、面白杉です。まあ、仮に自民党がこのまま分裂選挙となった場合、連載でも取り上げた1991年都知事選以来のことで、“因習めいた男社会の論理に挑む小池ジャンルダルク”ストーリーという感じで、ますますショーアップ化。舛添都政が残した課題は二の次、三の次になりそうで、都民としてはなんだかという気もします。

ただ、同じ分裂選挙になった場合、91年と決定的に違うのは、党のオフィシャル推しメンと、造反メンバーのバックのどちらが組織を持っているか。つまり、91年選挙では、小沢一郎幹事長が現職の鈴木知事に推薦を出さず、NHKキャスターの磯村尚徳さんを担ぎ出したことに、自民党都連が反発。その結果、磯村陣営は、党本部印は付いているのに組織力に欠けた一方、鈴木陣営には都連の大半の議員、地方議員がフル回転で選挙戦を支え、小沢執行部に反発するという「ねじれ現象」が生じました。

これに対し、2016年選挙で増田さんが自民印を得て出馬し、小池さんが無所属で打って出るということになると、今度は増田陣営に組織がついて、小池さんは無党派頼みの選挙戦ということになります。

91年と同じように組織がある方の陣営、今回で言うと増田さんがあっさり小池さんに勝つんでしょうかね。しかし、この間、都知事選における無党派層の比重は、この四半世紀で様変わりしております。95年の青島さんは組織なしの知名度のみ、街頭での選挙戦をせず政見放送とポスター貼りだけという究極の空中戦でまさかの当選。有力候補が最も乱立した99年には、石原さんが、霊友会等の支援はありながらも大半は無党派層の支持を得て圧勝した経緯があり、各党とも毎度のごとく候補者選びに頭を悩ませております。

増田陣営はあの“ドーピング”票で楽勝⁉︎

で、小池VS増田になった場合、どうなるんでしょうか。増田さんの基礎票となる自民の業界団体系組織票の参考になるのが、参院選東京選挙区の組織系候補。2013年の武見敬三さんが60万票、現在出馬中の中川雅治さんの前回2010年が71万票。そして2007年、丸川さんとの票住み分けに失敗して涙を飲んだ保坂三蔵さんが65万票。

あと、石原さんが当選した1999年都知事選で、当時の自民党印候補だった元国連事務次長・明石康さんで69万票なんて数字もあります。

参院選で丸川さんとかに流れた少数派の組織団体票も何万票かあると推計し、さらに公明・学会のドーピング票が70万入るとして、もろもろを勘案すると、増田さんが履くことになる下駄としては低く見積もっても140万票くらいでしょうか。

う〜ん、やはりアドバンテージとしては大きいっすね。。。

一方、小池さんの支持団体の票がどれくらいか存じ上げませんが、あえてゼロベースで無党派を集めると考えましょうか。保守系の無党派層を集票した事例として参考になるのが初当選時の石原さん(166万票)ですが、この時は舛添さん(83万票)も出馬するなど、保守・中間派受けする有力候補が乱立したこともあり、少々高めに見積もってもいいかもです。小池さんの知名度は当時の舛添さんよりも十二分でしょうし、今回出揃うであろう候補者メンツでは、一番知名度があるのは間違いありません。

民進党がどんなタマを出すか、維新がそれなりの知名度のある候補を立てるかでも趨勢は変わってくるでしょうけど、小池さんとしてはゼロから180〜200万は叩き出さねばならないという離れ業が要求されそうです。

小池陣営の「活路」は劇場化

その点、増田陣営は基礎票プラス60万程度の支持で200万に到達しますからね。ここ数年来の政治・選挙への嫌気ムードにより、投票率が50%を割り込むようなことになれば、小池さんが取りたい無党派層は投票いかないでしょうし、一見、「楽勝」のようにも思えます。

しかし、「建設官僚→岩手県知事→総務大臣→東大教授」という仕事はできるけど地味キャラ、芸能界風にいえば“ドラマに欠かせない名優だけど主役を張って数字を持つだけのスター性はない”増田さんに、どこまで無党派層への訴求力があるのか。とくに小池さんが得意のメディア戦術を発揮して「難敵に挑む健気なジャンヌ・ダルク」ストーリーで主導権を取り、都民の判官贔屓感情に火をつける劇場型選挙になって盛り上がった場合は、投票率も上昇して思わぬ展開もありそうです。

まあ、徒然なるままに書いてきましたが、実際に調査をかけてサンプルとって見積もったわけじゃないですからね。都知事選連載でリサーチした経験からのイメージレベルでの数字です。選挙の仕事とかで、ガチ調査の数字を見ては自分の勘ピューターの精度の悪さを毎度思い知らされますよ(苦笑)。

ていうか、その前に分裂選挙になるか決まってないわけですが、気の早い粗計算、失礼いたしました。ではでは。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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