小池百合子が東京都連のドンに勝てる条件

2016年07月08日 09:04

自民党の推薦がなくとも出ると宣言した小池百合子氏だが、自民党候補の応援に登場すれば大人気で自民党としては複雑。増田寛也氏が出ても都連推薦だけで党本部としては手を出せないし、小池のほうが強そうな気がする。

公明党も都本部だけ推薦するかどうか迷うことになるだろう。それにしても、自民党は小池に乗れば参議院選挙で三議席くらいは上乗せできたのに大馬鹿だ。自民党はもう無理だが、金曜か土曜におおさか維新が小池に乗れば、これも2~3議席上乗せできると思うがどうだろうか。ただ、小池が当選しても茨の道ではある。 

ところで、自民党都連がやたら話題になるが、これについて少し解説をしておく。自民党という組織は、都道府県ごとに国会議員と都道府県議会議員のパワーバランスは非常に違う。普通は会長が国会議員で、幹事長が都道府県議会議員だ。 

しかし、都道府県議会議員のほうが強くて会長を占めていることもあって、もっとも有名なのは地方ドンの代表と言われた茨城県の山口武平で1987年から2009年まで県連会長をつとめた。

一方で、会長でなくとも、国会議員も地方議員に頭が上がらないとか、地方行政を進めて行くに当たって地方議員のご要望を積み上げていくことに傾き過ぎて全体バランスが悪くなっているケースも多いのである。 

そして、東京では国会議員の数が多いこともあって実力者が育ちにくく、しかも、東京都が市役所としての権能の一部も持っているために、都議会の力はたいへん強く、知事をも凌駕していると言われる。

そんななかで、猪瀬直樹元知事が実情を詳しく語って話題になっている。その要旨は次のようなものだ。 

「報ステなどで猪瀬、舛添は自民党推薦としていたが、猪瀬は「推薦」をもらっていない。自民党都連(内田幹事長)は、選挙のポスターを貼ってくれず突き返してきた。副知事時代に既得権益に斬り込んだので嫌われたらしい。

副知事に就任にあたり議会承認が必要だったが担当部局を与えないことが条件だった。そこでプロジェクトチームをつくり改革に着手し、千代田区に建設が予定されていた参議院議員宿舎を潰したりしたので千代田区基盤の内田氏は激昂した。

そのためポスター2万枚を貼らないといわれ、しかたなしに、徳洲会に応援を頼んだが、最後は連合が貼ってくれた。

最後まで舛添続投を模索していたのは内田氏であるが、参議院選挙に影響が出ると官邸から言われ渋々、引導を渡した。メディアも情報が欲しいからドンに頭が上がらない。おそらくメディアはこれから小池氏のあら探しを始めるだろう。内田氏の思う壺になるのにである」

知事と都道府県議会ががちんこ勝負で対決することは、けっこうある。ただし、ほとんどは、県議会のほうが知事に嫌がらせをとことんやる場合だ。ともかく、県議会と対立すると知事は仕事らしい仕事が出来ない。一方、現職知事というのは、再出馬すれば当選率が90%だから、議会と言えども落選させるのは容易でない。そこで、だいたい、両方が「大人になって」なれ合いをするのである。

しかし、まれではあるが、議会選挙で知事が勝負に出ることもある。大阪府で橋下徹知事が維新を結成したり、あるいは、それに先立って、滋賀県で嘉田由紀子知事が対話の会を結成して与党化した民主党と併せて一期だけ過半数を制したことがある。

小池氏は、都議会を冒頭解散するといったが、これは、都議会も解散して民意を問えと迫って、自分に好意的な議員を勧誘する、議会が自主解散したり、解散せずに来年の通常選挙になれば、地域政党を結成して反対派の自民党議員に対抗馬を出すという意味だろう。 

しかし、より根本的な問題として憲法改正も視野に入れれば、私は首長の直接選挙という制度は良くないと思う。というのは、地方議員が閣僚にあたるポストに就く可能性がないので、地元の面倒を見ることや利権追及に流れがちになる。 

ヨーロッパ型の議院内閣制のほうが良いと思う。各国によって制度が違うが、各党が知事・市長候補を明示して議会選挙を戦うので、安易に地方ボスが知事や市長になるわけでない。国会議員との兼任なども可能なので、大物政治家が知事や市長になることが多い。また、議員の目標も閣僚(担当副知事とか副市長の形を取る)になって都道府県議会や自民党支部のドンではなくなるはずだ。

また、東京五輪のために半年間、都知事選挙を繰り上げるとういう話もある。かつては、首長は任期途中で辞任して再出馬し当選したら、また、四年つとめられた。しかし、不意打ち辞任して現職の強みで有利にという輩が多く、残存任期になった。だから、次の知事が半年前に辞任しても、本人が再当選したら半年後の2020年の7月にまた選挙なのである。 

そこで小池氏が任期三年半というなら、三つ方法がある。①特別法をつくる、②法律を改正して、半年程度の予告期間をおき、知事の同意を条件に条例を制定して任期を一年以下の範囲で短縮できるようにする、③知事も同意して不信任案を形式的に可決することで選挙を早めれば選挙から任期は四年になる、ということだ。

①は地域立法で住民投票が必要は可能性もあるし、③はイレギュラー過ぎるから、②ではないか。これは、選挙時期をできるだけ、統一地方選挙に揃えるのが望ましいとかいう目的にも使える。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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