バチカン、「言論の自由」認める判決

2016年07月11日 11:30

ローマ・カトリック教会の総本山、バチカン法王庁の裁判所は7日、通称“第2バチリークス”と呼ばれる機密公文書のリーク問題で5人の被告に対して判決を下した。

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▲情報管理問題で揺れるバチカン法王庁(2011年4月、バチカンで撮影)

不正入手した情報を報道した2人のイタリア人ジャーナリスト、ジャンルイージ・ヌッツィ氏(Gianluigi Nuzzi)と エミリアーノ・フィッティパルディ氏(Emiliano Fittipaldi)に対しては、「犯行がバチカンの領域内であったか不明であり、バチカン司法当局の権限問題ではない」と強調し、「言論の自由」は基本権利であることを認め、無罪を言い渡した。

一方、2人のジャーナリストに機密文書を流したスペイン教会神父のルシオ・アンヘル・バジェホ・バルダ神父(54)とソーシャル・メディア専門家のフランチェスカ・シャウキ女史(33)の2人に対しては有罪判決を下した。2人は解散されたバチカン経済部門機構改革委員会(COSEA)に従事していた。シャウキ女史には執行猶予付の有罪判決、バルダ神父には18カ月の実刑有罪判決だった。バチカン放送独語電子版(7日)によると、フランシスコ法王は同神父に対し恩赦する可能性もあり得るという。なお、5人目の被告、バチカン経済委員会のメンバーのニコラ・マイオ氏は無罪となった。

バチカン法王庁の司法当局は昨年11月2日、バチカン関係者の2人を機密文書を盗み、漏えいした容疑で逮捕した。両者はフランシスコ法王が設置したCOSEAのメンバーで、バチカンの財政状況を審査する立場だっただけに、大きな衝撃を教会内外に投じた。バルダ神父は法王庁諸行政部門およびその財務を管理する「聖座財務部」の次長だ。同神父はカトリック教会の根本主義グループ「オプス・デイ」(神の業)と繋がりがある。

無罪判決を得たヌッツィ氏は、「この日はわれわれ2人のジャーナリストにとって歴史的な日だけではなく、バチカンにとってもそうだ。バチカンの裁判所がジャーナリストの報道の権利を認めたからだ。無罪判決はフランシスコ法王下のバチカンの転回を意味する」と述べた。

バチカン法王庁では過去、機密情報が外部に流れる不祥事が頻繁に発生している。バチカンは昔から“秘密の宝庫”と呼ばれてきたが、その宝庫に近づき、その宝を手に入れようとする人が絶えないのだ。

最近では、前法王べネディクト16世在位中の2012年、機密文書の流出事件(通称Vatileaks、バチリークス)が生じた。法王の執事(当時)パオロ・ガブリエレ被告(当時46)がべネディクト16世の執務室や法王の私設秘書、ゲオルグ・ゲンスヴァイン氏の部屋から法王宛の個人書簡や内部文書などを盗み出し、今回の事件にも関与したジャーナリストNuzzi 氏に流した事件だ。ガブリエレ被告(当時46)は2012年10月6日、窃盗罪として禁固1年半の有罪判決を受けたが、べネディクト16世は判決後、ガブリエレ氏に恩赦を与えている。

そして3年後、第2のガブリエレが現れたのだ。今回は法王執事ではなく、バチカン聖座財務部のナンバー2(次長)だった。イタリアのメディアは今回の機密文書の窃盗・漏えい事件を“第2のバチリークス”と呼んでいる。

イタリアのメディアによると、バルダ神父が2人のジャーナリストに手渡した情報には、タルチジオ・ベルトーネ枢機卿(前国務長官)の腐敗(巨額な住居費など)、宗教事業協会(バチカン銀行、IOR)の疑惑口座、バチカンが運営する小児病院「バンビーノ・ジェズ」の不正運営などが含まれていたという。

南米出身のローマ法王フランシスコが登場し、バチカン機構の刷新に乗り出して以来、保守派聖職者と改革派聖職者の間で情報戦が激化している。バチカンで今後、“第3、第4のバチリークス”が発生しても不思議ではない状況だ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年7月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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