北朝鮮人にも無条件に選挙権と仰天提案の鳥越氏

BSフジの「プライム・ニュース」(木曜日)で、鳥越・増田・小池三候補が外国人地方参政権について議論していた。非常に問題がクリアになっていたので、紹介と解説をしておきたい。

小池氏は「反対」、増田氏は「東京都民の意向次第」、鳥越氏は10年以上居住しておれば「無条件に認める」としていた。まったく違う立場であり、重要な判断材料だろう。 

鳥越氏は国籍によって区別するのはダメと言っている。ということは、北朝鮮国民としての教育を行う朝鮮学校で主体思想に基づく教育を一貫して受け、「北朝鮮国籍」であっても、無条件で選挙権を与えるべきだということを意味する。もちろん、これから中国人が語学学校や大学で滞在を繋いでいって10年いたら取得できるだけで、特定の地区で人口のかなりの割合になってもOKである。 

増田氏は全国ばらばらでいいというのだが、ちょっとおかしいのではないか。彼は岩手県知事時代に賛成だった経緯がある。そのころは、中国や韓国が現在ほど、反日ムードでもなかったので賛成したのだろうから、状況の変化で考えが変わりましたといえばいいのに、無理に整合性をとろうとするからおかしくなっている。 

増田氏は当時の岩手県では賛成の人が多かったので賛成だと言ったが、現在の東京では反対の人が多そうだから、やらない方が良いといっていた。つまり、地域ごとに決めたらいいというのである。それでは、その地域の単位はどうかといえば、都道府県くらいといっていた。ということは、東京都で外国人地方参政権を認めると決めれば、すべての市町村特別区でも認めると言うことだろう。 

しかし、このような国家主権にかかわる問題を地方ごとに決める問題だろうかといえば、認めるならさまざまな配慮から制度設計をしなくてはならないから、地方で決めるにはなじまない。また、いったん与えてしまえば、これを取り上げることは非常に難しい。そのあたりを増田氏は本当によく考えてものをいっているのか怪しい。

この問題に限らず、増田氏は桜井氏が出馬を断ったことで話を持ちかけられたので飛びついたものだから、頭の整理が「官僚出身者の割には」緻密にできていない印象がある。

ちなみに、私自身の考え方は、いわゆる保守派の人々のように何が何でも反対というわけでない。EU内のように将来的にはありえない話ではないが、そのためには、まず、相手国内で日本人が認められている場合のみという相互主義が守られるべきだ。 

また、地方自治の権限から国益に影響する事項は慎重に外すという条件整備が不可欠であると思う。たとえば、教科書の採択とか国旗国歌の扱いなどにまで、なにがしかでも外国人の意向が反映されてはなるまい。一般に地方分権を大胆に行うことと調整は難しいことだ。 

そう考えていくと、近年の国際情勢なども踏まえれば、さしあたって現実的には難しいとしか言いようがない。ただし、納税者たる外国籍住民の意見をある程度は反映するべきでないかとかいうなら、希望を聞いたり意見を交換するための会議などを設ければいいことであって、それには私は反対でない。また、現実に審議会などに外国人を入れていることはあるのである。

いずれにせよ、東京都知事に立候補しようという人が、こうした国のあり方の基本に関わる問題について、思慮深く考えていないのはまことに残念なことだ。