鳥越氏の超高齢立候補は美談でなく究極の無責任

2016年07月18日 06:00

任期全うできない可能性が大きい 

癌をおして史上最高齢の知事に立候補する元気があるのは感動ものだ。しかし、議員ならまだしも知事という大きな組織の長で、任期が全うできなければ数十億円かけて再選挙をしなくてはならない仕事に就こうというのは、美談でなく醜悪なスキャンダルだと思う。 

オバマ大統領とマケイン上院議員が争った2008年の大統領選挙のとき、マケイン氏は72歳だった。このとき、マケイン氏が4年の任期中に死ぬ可能性は16%もあり無責任だとさんざん非難されたものだ(副大統領候補が経験のない女性候補のペイリンだったせいもあるが)。

鳥越氏は76歳である。しかも、鳥越氏は東京五輪会式開(7月24日)直前の2020年7月18日あたりに投票となる選挙に再立候補したいといっている。日本人男性でこの年齢なら余命四年内の可能性は平均でも10数%あるし、世界を飛び回る激務であり、しかも、鳥越氏が癌の手術をなんどもしていることも考えればもっと高いかも知れない。 

さらに、病気引退まで含めれば30%ほどの確率で任期を全うできず再び選挙が必要になるだろう。さらに、本人は84歳になるまで二期務めると明言しているが、それは半分をかなり超える確率で無理だろう。 

76歳というのは、岐阜県の武藤知事、千葉県の加納知事とともに史上最高齢だが、加納知事は就任から三か月で死去している。無理がたたったのだ。歴代首相でも退任時最高齢は大隈重信の78歳で、鳥越は一期目の半ばでこの年齢に達する。 

あるいは、全国最長の在任期間を誇った石川県の中西陽一知事は76歳で現役のまま老衰で死んでいるし、痴呆が進んで引退の明確な意思表明ができないとかいう首長さんもときどきいる。 

そもそも、84歳で立派につとまる職業などほとんどあるまい。なんなら、都庁も84歳定年にしたらよい。

リオ五輪に出席して無事に帰国できるか怪しい

こういうことをいうのは普通なら失礼だが、知事のような重要な公職の場合は、きちんと説明するとか、場合によっては健康診断書を公表するとかがあってもいいのである。アメリカならそうするだろう。 

こういう議論をすると安倍首相でも健康不安があるとか反論する人がいるが、そのリスクの大きさは年齢が違うから比べものにならない。それに、アメリカの大統領のように副大統領がいつでもピンチヒッターとしているとか、日本の首相のように死んだり辞めたりしてもすぐに後任を決めることができるわけでなく、改めて選挙をして新しい知事が決まるまでに50日くらいかかりその間は知事は空席になる。

とくに、直下型地震も心配され、なにより東京五輪という数十年にいちどのイベントを控えているだけに悪い時期にあたったら目も当てられない。

また、鳥越俊太郎氏は立候補表明時のやりとりをみても、心身ともに正常に職務を果たせる状態ではなさそうだ。東京の出生率が全国平均より上とかいうに至っては知事でなくとも、ジャーナリストとして現役で活躍できる状態でないと思う(全国1.4、東京は1.1)。 

選挙戦が始まっても、7月17日のフジテレビで有力三候補が出演して議論するはずだったのをドタキャンしたとか、一日に一度か二度しか街頭演説していない。

当選して、さっそくリオデジャネイロ五輪閉会式にファーストクラス使わずに行って、遅延などいろいろのハプニングも予想されるなかで、無事に五輪旗を受け取り帰ってくることを無事できるか怪しいものだ。 

また、副知事の選任は少数与党の場合には、議会の同意が必要だから、だいたいもめるのが普通だ。しばらく三人の副知事がまったく空席で、その助けなしに一人で仕事をしなくてはならない可能性もかなり高い。

こうしたことを考えると、76歳で病身の鳥越氏が自ら名乗り出て、また、それを民進党など野党四党が支持することにしたのは、無責任の極みとしかいいようがなく、投票日までに辞退するほうがまだしも責任ある行動だ。  

 

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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