知っているようでいて知らないことってたくさんありますね。
今日の掲題ニュースを読んで、ちょっと調べてみて、思い込みって強いんだなぁ、と反省しています。FTの “India eyes oil demand growth top spot” (July 22, 2016 1:14am) という記事です。
この記事に「インドの石油消費量は今年中に日本を追い抜き、米国、中国についで第3位になる」という記載があったので、「BP統計集2016」をチェックしてみました。すると、2015年実績ですでに抜かれていたんですね。ついでに、と5位以下をチェックしたら、なんとサウジアラビアが5位になっていました! もはや欧州各国ではないんですね。
ご参考までにトップ10をご紹介しておきます。
1.米国 1,939.6万B/D (バレル/日)
2.中国 1,196.8万B/D
3.インド 415.9万B/D
4.日本 415.0万B/D
5.サウジアラビア 389.5万B/D
6.ブラジル 315.7万B/D
7.ロシア 311.3万B/D
8.韓国 257.5万B/D
9.ドイツ 233.8万B/D
10.カナダ 232.2万B/D
なお記事の要点を筆者の興味にしたがって紹介すると、次のようになっています。
・インドのプラダン石油相は、先週インドの石油産業への投資を誘致するために訪米し、ヒューストンでFTに「単なるパートナーシップを求めているのではない」と語った。
・インドは、ことし経済成長率が7.5%になると見込まれており、石油需要伸び率で初めて中国を抜く。
・13億人の人口を抱えるが、1000人当たりの自動車保有は25台で、中国の110台より圧倒的に少ない(念の為に調べたら、2010年統計で、米国797台、日本591台、中国85台、インド18台)。プラスチックの消費量も、一人あたり年間12kgで、欧州の10分の1以下。
・中間層の拡大が自動車や飛行機利用の消費を拡大し、ガソリン、軽油、ジェット燃料などの需要増をもたらす。
・懸念は、人口の3分の2が田舎暮らしのインドが、政府の強力な指導で経済成長をなしとげた中国と同じような成長軌道を辿れるのかどうか、という点にある。
・60万円以上する自動車購入台数は2011年以来、12%の増加。一方、9万円以下で買えるスクーターやバイクなどの二輪車は40%以上の増加を示している。
・政府は補助金削減を行っているが、低油価の恩恵で消費は伸びている。
・インドの原油支払い代金は、2014年対比600億ドルも少なくて済んでいる。
・IEAによると、石油消費は2016年は前年比30万B/D増の430万B/Dとなり、2040年には1,000万B/Dになると見込まれている。
・「低油価は巨額の補助金。消費国にとっては恩恵だ」というアナリストもいる。
・中国は第三次産業化しているが、インドは10年前の中国と同様、輸送燃料の消費増がめざましい。
・サウジアラムコ、シェル、トタールなどがガソリン販売網の拡充を目指している。
・国内12%シェアーの製油会社 Essar Oilに、ロシアのRosneftやオイルトレーダーたちが興味を示している。
・Citigroupのオイル・アナリストの Seth Kleinmanは「新興国の中ではベストの国だ」という。
勉強し続けなければ!
編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2016年7月22日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。