この写真は人口呼吸器ではありません。敵は痰です!

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私のALSの症状の中で、目下の最大の難敵は「痰」です。痰があるために、身体は反射として咳を起こして、痰を出そうとします。しかし、今の私の肺活量では、どれだけ咳き込んでも痰は基本的には出てこず、出てきても喉にある痰を吐き出すための、舌の筋力がないので、どうしようもありません。結果咳き込みが止まらず、ひどくなると肺炎になります。

そこで登場するのが吸引器です。要するに掃除機と同じで、細い管を口もしくは鼻から入れて、喉の奥にある痰を吸い取るための機械です。救世主のように思っていましたが、これを使ってもなかなかスッキリせず、吸っても吸っても痰が後から生まれる感じでした。最後の手段として鼻から直接気管に管を入れる方法がありますが、これが物凄くしんどいのです。

というわけで、痰そのものを減らす方法及び取れやすい痰にする方法を模索しています。唾液を減らして気管にたれ込んで痰ができるのを防ぐ薬、痰を柔らかくする薬、痰を柔らかくするために水分を多く摂る、などしています。そして、最近始めた吸入が結構効いているようです。吸入とは喘息の患者さんが、煙を吸い込むやつです。家に吸入器があり、11回吸わせてもらっています。

肺活量の数値は、半年以上前からあまり変わっておらず、呼吸については維持されています。しかし、痰があまりにひどくなれば、痰を確実に取り除くために気管切開を考えた方が良いかもと、医師から言われています。それは即ち、声を失うことを意味します。

もはや蚊の鳴くような、母音の区別も付かない声ですが、私にとっては大切な自分の声です。痰に負けたくないです。幸い、私の周りの介助者は口文字を覚えつつあり、コミュニケーション維持のための準備は進んでいます。しかし、「声=言葉」だけではありません。喜怒哀楽は時として、言葉にならない声で表されます。それさえも失うのは嫌です。

リハビリ、吸入、マッサージ、食事の長時間化と、身体のケアに必要な時間がどんどん増えています。はがゆいですが、仕事するには身体が資本なので、焦らず行きたいと思います。

株式会社まんまる笑店
代表取締役社長    恩田聖敬

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ブログ:創業への思い
http://blog.livedoor.jp/onda0510/archives/4335409.html


この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2016年7月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。