小池の勝利は自民・民進にとって悪いことでない

2016年07月29日 06:00

もしマスコミの予想通り小池百合子が都知事選挙に勝利したら、日本の政治にとって良いことが多いと思う。

これまで女性の首長はけっこう誕生しているが、例外はあるものの男の都合でできたものだ。地方の事情としては保革相乗りを維持したいが中央で自民・民主で対立しているので難しいが女性ならとか、自民のイメージが悪い時期に目くらまし的に女性を出すとか、女性は利権がらみのややこしい話は忌避して関与しないから、かえって、従来の利権構造を維持しやすいとかろくでもない動機が多い。

知事レベルで言えば、若干、今回の小池と似ているのは、滋賀県の嘉田由紀子知事の初当選時くらいだろうか。

そういう意味で、男社会の論理で排除されそうになった女性が見事にドンを退治し、さらに、セクハラ男も退けて東京都知事になったなどということになれば日本社会のためにとても良いことだ。

さらに、ヒラリー・クリントンが民主党大統領候補となり、メイがイギリス首相になるのと同時期に、日本で華々しく女性都知事が誕生すれば、日本のイメージ向上におおいに貢献する。

インドのインディラ・ガンジー、パキスタンのブット、フィリピンのアキノ、韓国の朴槿恵などは、有力政治家の娘や未亡人で本当の意味での本人の実力ではなかったから、値打ちが違う。

また、女性ということを別にしても、安保法制論争から変な方向に行ってしまった日本政治の閉塞状況を打破してくれると思う。そして、それは、自民党にとっても民進党にとっても好影響を及ぼすと思う。

自民党にとっては、地方組織が守旧派的な勢力に壟断されているのはよろしくない。そういうことをしていると、徐々に将来性のない組織になる。その意味で、こういうクーデターがときおり成功することは党組織の活性化になる。

また、自民党は安倍首相以外にはスターが不在で、次はまだ政務官しかしてない小泉進次郎までいない。そうしたなかで、小池という安倍・小泉に続くスター政治家をもつことはよいことだし、これに刺激されて次期首相を狙う勇気ある政治家もでてくるのではないか。

一方、野党連合で三分の一確保などということでは、民進党もかつての社会党的な存在になる。やはり民進党が進むべき道は中道左派政党だ。

野党連合で候補を決めるとなれば、結局のところは共産党のお眼鏡にかなわない候補者は排除されていく。今回の長島昭久氏の立候補の経緯でも明らかになったことだ。また、無理に共産党の気にいる候補ということにこだわったあげくが、鳥越俊太郎というとんでもない候補を、スキャンダルはもちろん、候補者として、また、当選してから正常仕事をできるかもチェックしないで決めたような愚かなことになる。

私は四野党協力など反対だが、少なくとも候補者選定にまで共産党の意向を気にしなければならないのならとんでもないことだ。

そうしたなかで、小池氏のような自民党の執行部の意に沿わぬ候補が勝つとなれば、民進党にとっても、共産党のご機嫌をとるのとは違った再生の道がみえてくるのでないか。

私が岡田克也代表の立場なら、小池が当選したら、「今回の選挙では候補者の選定に十分な時間を掛けられず、結果、候補者の健康状態などさまざまな面について十分なチェックが出来ず、本人にも支持者にも申し訳ないことになった。しかし、小池氏当選は必ずしも安倍政権や自民党的なものに国民が満足していないことを証明したともいえ、今後の参考にしたい」というだろう。

ともかく、憲法とか安保法制とか、55年体制的なテーマで争うより、もっとひろい外交や経済政策など本当に議論すべきことがあるし、政党なら三分の一確保でなく政権奪取をめざして欲しい。その意味で、小池が勝利したほうが民進党の再生に役立つと思う。

そういうような意味でも、自民党や民進党なども無理なところがある候補者にこだわるより、小池にある程度は流れる支持者がいても容認することが、将来にとって新しい流れをつかむきっかけになると思う。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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