太陽光は発電だけではもったいない！デンマークで普及する太陽熱温水と地域熱供給

このエントリーは連載ものです。

自然エネルギー先進国のデンマーク。普及しているのは、バイオマスや風力だけではありません。太陽光の活用も非常に盛んです。日本でもおなじみのこの光景。でも、デンマークは少し違います。

そうなんです。デンマークでは、太陽光発電も行いますが、太陽熱の活用も進んでいます。電気は熱と比べて、何でも活用できる高級なエネルギー、その分変換するには多くのエネルギーを必要とします。当たり前ですが、太陽光の熱も活用した方が効率的なんですね。

そしてデンマークでは、温水を地域に配管する「地域熱供給」（district heating)が５０年近く前から進んでいます。先ほどの太陽熱温水やバイオガスで生じたメタンなどが活用されます。

CO2の削減にも非常に熱心。石炭（＝bad guy）と比べて、天然ガスやバイオガス（=beautiful girl)がどれほど削減されるのか楽しく分かりやすく伝えるポスターもつくられています。

（※こちらは、ガス導管。温水を運ぶ熱導管ではありません。）

「でも、熱導管を地域にめぐらせるって、お金かからないんですか？」気になる質問を聞いてみました。

「もちろん、かかります。でも、日本では、水道管の工事はやらないんですか？おんなじ原理ですよ。デンマークでは、アスファルトを掘るのではなく、できる限りまわりの柔らかい土の部分を掘ります。だから日本と比べてお金がかかりません。断熱材や配管の技術も進歩しています。」

（熱導管。１番左のものは、一つの管で温水と使った後の冷水を運ぶことができ、効率的。）

「デンマークでは、一定以上の人口エリアには法律で地域熱供給が義務付けられています。独占供給ですので、運営会社は全て非営利です。法律で全ての地区の価格はオープンになっています。消費者である住民は、他の地区と比べて安いか高いか判断し、高い場合には値下げを要求することができます。」

「この地区の場合、最初の接続費用は約４０万円です。」

「少し高くないですか？」

「石油ファンヒーターの設置費用と同じくらいです。それに最初の一回だけですし、月々の費用は石油と比べて安くなります。」

デンマークでは、都市計画が厳格に設定。田舎でも居住地域は人口密度が高く、地域熱供給を行いやすい環境です。

日本とデンマークでは環境が大きく違うので、現時点では日本での導入は難しい側面もありますが、特に都市部のビルやマンションには、太陽熱温水の活用と地域熱供給が有効かもしれません。

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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年8月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語～井上貴至の地域づくりは楽しい～』をご覧ください。

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