働き方の改革は容易なことではないが、とにかくやってみることだ

もうこれ以上働いてはダメだ、早く家に帰りなさい、などと言っても、仕事が大好きな人は居残って仕事をしたがるものである。

小池さんは、都庁の職員の一斉退庁時刻を午後6時に設定したかったということのようだが、色々な配慮から、当面は午後8時以降の居残りを基本的に禁止することにしたようだ。

しかし、いくら知事が職員に早く家に帰りなさい、などと言っても、特に制裁措置が待っているわけではないだろうから、都庁の職員が素直に知事に従うとも思えない。

多くの職員は、何のかんの理屈をつけながら居残って仕事をしてしまうはずである。

働き方の改革はこれからの日本にとって大事なテーマだと思うが、そう簡単なことではない。
まず職員の意識改革が必要になる。

おそらく職員の意識改革のためには1、2年かかるのではなかろうか。

私などは、趣味は仕事と言って憚らないところがあったから、これ以上働くな、と言われても困ってしまう方のグループだ。

仕事が大好きだから、私が一番困るのは、自分がやる仕事がなくなること。
仕事以外に趣味がないようなものだから、私から仕事を取り上げてしまえば、まるで私自身空っぽのようになってしまう。

勤勉であることが貴ばれている時代に育った人間は、大体同じようなものだと思う。

遊べ、と言われても遊べない。
家に帰れ、と言われてもなかなか家に帰らない。

小池さんは、そういう私たちの生き方を変えようとしている。

長い目で見れば、小池さんが正しいのだと思う。

私にはとてもこういう発想は出来ないが、世の中を変えるためには、午後8時以降の居残りを禁止するくらいの措置は講じた方がいいのかも知れない。

午後8時になったら都庁全体が一斉に消灯になり、エレベータも動かなくなるのだったら、どんな仕事人間も都庁から退出するはずである。

都庁職員の方々の働き方が変われば、民間企業で働く一般の方々の働き方もいずれは変わるはずである。

まあ、週休2日制導入の時と同じようなことだな、と思えば、いずれはこれが当たり前になるはずだ。

いや、小池さんはやるもんだ。
法律制度にいささかも手を付けないで、人の意識を変えようとしている。

私にはとても出来ないことである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年10月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。