豊洲市場問題。都の監査機能いきていたの?

上田 令子

 豊洲市場地下空間に関する調査特別チームの第二次事故報告書が昨日公表されましたね。平成23年8月の部課長会議で決定されたと位置付け、当時の部長ら現役4人OB4人の計8人(現副知事の中西充氏、部長級で塩見清仁氏(現オリンピック・パラリンピック準備局長)ら現役幹部4人、岡田至氏(現東京都歴史文化財団副理事長)らOB4人)に責任があると結論づけています。

 本年9月に、市場問題プロジェクトチーム豊洲市場地下空間に関する調査特別チームが、小池知事が初めて臨んだ10月の第三回定例会では豊洲市場移転問題特別委員会が設置をされました。

 小池知事新体制となりこのような新たな調査体制が急きょ整ったわけですが、本来東京都には「地方公共団体の事務執行の正否や適否をチェックし、住民や議会等が正しく判断」するもととなる情報を提供する監査委員制度があり、監査委員は、知事の指揮監督から職務上独立し、常に公正不偏の態度を保持して監査を実施」しているのです。本来であれば、中央卸売市場が議会に虚偽の報告をさせるまでもなく、新たに調査チームをコストとかけて設置するまでもなく、事前に監査委員がチェックができなかったのか?と私はかねがね考えており、去る10月28日の各会計決算特別委員会での審査が「監査事務局」でしたことから質させて頂きました。

■監査委員制度とは 
 まずはなかなか、都民が知りえない監査委員の制度(詳細こちら)についてですが

「監査委員は、知事から独立した地位を認められた、地方自治法で定める執行機関の一つです。(地方自治法第195条の2)」(HPより)

 監査事務局職員の有資格者の内訳は以下の通りです。(上田調べ)

・公認会計士 2名
・簿記1級 1名
・中小企業診断士 1名
・1級建築士 1名

 「事務執行の正否や適否をチェック」ということで、平たく言えば議会とは別に行政部門の中で知事とは独立して監視をする組織ということですね。
 
■東京都の説明
まず、監査事務局に、平成27年度(決算年度でないと聞いてはいけない委員会ルール)にあたって「監査報告」そのものをどう評価してるのか確認をしたところ「監査の結果、指摘等の事項については、早急に是正改善するなど適切な措置を講ずるよう、年2回、期日を定め各局へ報告を要求。改善中の場合は、その経過や今後の対応について、各局の状況を詳細に把握するなど、的確にフォローを実施。」と優等生の回答。ふむふむ。
 となれば、監査とその結果のフィードバックが気になるところですから、監査事務局の指導的役割について尋ねますと「監査結果が都の事務事業の改善に資するよう、質の高い監査を実施し、各局への事務改善を促すことが重要。監査とその結果のフィードバックについては、再発防止の効果を高めることを目的として、各局の担当者向けにに事務説明会を開催。その説明会の中で、過去の指摘を類型化した監査指摘事例集を配布し、共通して誤りの起こりやすい事例を各局へ周知。」とのこと、ちゃんとやってますってことですね、ほうほう。
 その専門性の確保が気になっていたので「専門性の確保については、公認会計士、中小企「業診断士、1級建築士などの有資格者が在籍。今後とも、更なる監査の質の向上に努める。」ということを確認しました。

■監査事務局の存在意義とは
 13兆円の都民の血税の最後の砦の監査委員の存在意義は、課題を明らかにし、都民の財産や信用や利益を棄損しないか、また棄損を発見し、勧告によって是正していくのかにあり、もっとも重要な責務。決算委員会の答弁では監査委員の制度設計どおりの運用はされているとのことですが…。監査しただけで検証の結果が事業に脈々と息づかなくては形式的な仕事によってお墨付けを与えておしまいという監査になっていまいか。それが、盛り土問題なのではないか?!と私は懸念をもったわけです。
 ほとんどは善良で都民ファーストに働く職員で占められる東京都が、不名誉なことで全国的に注目を集めることとなってしまったことは、私は議会軽視よりも甚大、職員の働きやすい風土ファーストのためにも、行政サイドでの血税使ったチェック機能の監査がどうなってたの?と胸を痛めたわけです。

■中央卸売市場の監査はどうなっていたのか
そこで、築地市場・豊洲市場つまり中央卸売市場という部局への監査のこれまでの経緯を決算公式委員会資料として以下取り寄せました。

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今騒動となっている平成23年8月当時はもとより、決定時から監査をしていることが読めます。

これに基づいて監査にあたって、実際にどの程度、現地に足を運んでいるか実績を確認したら年に数日程度のこと判明:(;゙゚’ω゚’):

 そこで、ちゃんとチェックできるのか?と思いましてね、1級建築士も監査事務局にはいるなのに、「なぜ、当初の説明と異なる実態を監査によって、監査開始からの経緯と、盛り土をしていなかったことや地下空間があったこと等、中央卸市場による虚偽の説明を各種監査で見抜けなかった」のか斬り込んで行きます。

 中央卸売市場サイドのお答えは「工事監査では、局の策定する全体計画は適切であり…(いろいろあれそれ言い訳申し開き反論ぶつぶつ…中略)、今般の件を踏まえ、実効性を上げる方策を検討。」だそうです。

■虚偽へのお墨付き監査回避にむけて
監査事務局は、監査結果を各局への事務改善に促し、監査委員のスキルアップに研鑽し、監査の向上に努めていると必死に抗弁してたけど、豊洲市場の盛り土問題によりその機能が働いていなかったということが、露呈しちゃいました。
 本来は、行政が都民や都議会の監視をすり抜けて虚偽や不正を行わないため最後の砦として監査委員がいるわけです。そして平成26年2月工事着工以降、資料↑にもあるように実際に監査をしてきたわけでありまして、決算における答弁と言う名の言い訳むなしく、盛り土をしていなかった実態と図面と議会への虚偽の説明を見抜けず結果的に「問題ない」というお墨付きを監査委員が与えてしまったということは大きな問題です。

■税金を使って税金使途監視なのに
他の都議会議員はめったに質問をしない監査事務局審査。地味な部局ですがこれとても税金で執行され、都民は税金を払いながら税金の使い道と都民の財産である行政財産の管理監督をお願いしているのであります。
 私への答弁は「今後実効性を上げる」とのことなのだけど、ザル監査で地下空間を見過ごした監査機能なきお墨付き機関とならぬよう、この事例を厳しく受け止めてすべての監査にあたっていただくことを強く要望要請した次第。そして、監査に関して関心を失いすぎている都議会にも風穴を開けて参ります!!

【お姐総括】
公平性、専門性が疑われる議選委員が横行する監査委員制度そのものを見直せ!!

☆お姐、法や条例のもと設置されていながら運用で機能していない行政機関を今後も監査してゆけ!☆

上田令子 プロフィール

東京都議会議員(江戸川区選出)、地域政党「自由を守る会」代表、地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)副代表
白百合女子大学を卒業後、ナショナルライフ保険(現ING生命)入社後、以降数社を経て、起業も。2007年統一地方選挙にて江戸川区議会議員初当選。2期目江戸川区議会史上最高記録、2011年統一地方選挙東京都の候補全員の中で最多得票の1万2千票のトップ当選。2013年東京都議会議員選挙初当選。2014年11月地域政党「自由を守る会」を設立し、代表に就任。2015年3月地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)を設立し、副代表に就任。

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