朝日新聞、二重国籍社説の致命的誤り

2016年11月07日 15:20

朝日新聞の二重国籍問題についての社説についてです(以下、*が私のコメント)。

1人でふたつの国籍を持つ、「二重国籍」の論議が最近、国会などで続いている。
国際化が進む今、二重国籍はもはや珍しくはない。
父母のどちらかが外国人である場合のほか、米国など出生地によって、ほぼ自動的に外国籍が与えられるケースもある。
そうした日本人が80万人以上いるとされている。

*22歳になっていない合法的二重国籍者がほとんどでは?

論議の中には、その現実とは無関係に、過度に問題視するような意見もある。しかし、ここは未来の日本をしっかり見据えて、どんな国籍の扱いが望ましいか冷静に考えたい。日本の国籍法は22歳までに日本か外国の国籍を選ぶよう求めている。日本国籍を選択した場合、外国籍については「離脱に努める」のが決まりだ。だが、罰則はなく、日本国籍を選んでも外国籍は離脱しないケースが大半だ。

*そんなことはないでしょう

自分に外国籍があることに気付かない人もいる。国籍の離脱手続きが難しい国もあり、強制はできない。
国籍を剥奪(はくだつ)されると思い込んで他方の国籍を放棄してしまい、後悔する人も少なくない。

*まじめに離脱した人に損をさせるような政策はとるべきでありません。

「国籍選択は、父母のどちらかを選ぶようなもの」「二重国籍であるだけで悪いことをしているように思われる」。そんな切実な声にも耳を傾けたい。

*人生には父母のどちらかを取らざるをえないことはいくらでもある。二重国籍はもともと好ましくない上に違法なのだから悪いことです。

国境を越えた人の往来や経済活動が盛んになり、90年代以降は多くの国が二重国籍を認める立場にかじを切っている。欧州では97年、出生などで得た外国籍の保持を認める条約が採択された。主要7カ国で認めていないのは日本だけだ。

*欧米では二重国籍は当たり前だったのが制限されてきたのが流れだ。また、ヨーロッパ市民権への移行過程ともいえます。テロ、脱税、難民、移民の増加に伴って厳しくなっている傾向もある。男女同権、国際結婚、移住の増加に伴う過渡期的措置です。

幅広い人材を呼び込めるだけではない。国籍を柔軟に認めた方が社会参加を促し、国を安定させるとの考えが基盤にある。

*それは割り切りすぎです。また、多国籍企業の自由と同じで反省期。 

日本政府も、二重国籍が原因での具体的な弊害は起きていないことは認めている。そろそろ「国籍唯一の原則」を再考すべき時ではないだろうか。

*誰がそんなことをいっているのでしょうか。国籍唯一の原則は世界で認められています。

一方、政治の場での論議の発端は、蓮舫・民進党代表の「国籍」をめぐる問題だった。
台湾籍を放棄したかどうかで説明が揺れたことは、公党のリーダーとして不適切な対応だったといわざるをえない。ただ、日本は外交官など外務公務員を除き、二重国籍者の公職就任を禁じていない。外国籍があるのを理由に参政権などを奪うのは、憲法が定める法の下の平等に反する可能性もある。

*そういう配慮は必要ですが、一人で二人分の権利を行使するのはおかしい。それなら、義務も二人分はたすのでしょうか。

二重国籍と公職とのあり方については、慎重に時間をかけて論議を重ねる必要があろう。
多様な背景を持つ日本人が胸を張って共に暮らす。目指すべきはそんな社会である。

*時間をかけて検討するのは結構ですが、結論が出るまで野放しは困ります。暫定的に原則を決めて、あとで柔軟化しても良いでしょう。また、隠すのが論外なのはいうまでもありません。

*いずれにしても、権利は二人分、義務は一人分とか、さらには、いいとこ取りはおかしいのではないでしょうか。

なお、この問題については、朝日新聞ですが、元レバノン大使の天木直人さんのすばらしいインタビューがあります。

とくに、後半のところ。

「大使として赴任したレバノンでは重国籍の人は珍しくありませんでした。内戦が激しく、欧米などに脱出し別の国籍も得て、複数のパスポートを使い分けてビジネスをする人たちがいました。いちいちビザをとる必要はなく、国を自由に移動でき、便利です。それだけにスパイとして利用されやすい一面もあります。政府も国民も、誰を信じていいのか分からなくなる

欧州は、テロが頻繁に起き、移民規制が厳しくなりつつあるようですが、これまでは重国籍の政府幹部や政治家もいて寛容でした。欧州連合(EU)は、国家の権限の制約に合意した国々の集まりという背景もあったでしょう。しかしアジアではどうでしょうか。日本と韓国、中国との関係をみても、領土問題などで、しばしば深刻な対立が起き、主権国家の枠組みはむしろ強まっています。

自分が国籍をもつ国どうしの利益がぶつかったとき、どちらの側に立つのか。安全保障の観点からは、今や公務員だけでなく、民間人にも問われるようになってきたと感じています」

といったあたりは含蓄があります。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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