今日という今日はむかっ腹が立ちましたね。
恐るべき公営競技の二枚舌ぶり・・・
始まりは、国際カジノ研究所の所長の木曽崇さんのTwitterを目にしたことでした。
木曽さんとは、時々TVで共演させて頂いたり、
またIR法案が通った時に、宇佐美さんの司会で対談もさせて頂いたのですが、
もちろん木曽さんは産業側でお仕事をされている方なので、普段は、意見が一致しないことも多くあります。
でも、もちろんリスペクトはしているので、Twitterもフォローさせて頂いているのですが、この件では完全に意見が一致!是非、共闘したいところですね。
早速メッセージを送って、木曽さんに教えて頂いたのですが、皆さんも報道でご存知かと思いますが、12/26にIR法案の通過を受けて、「第1回ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」というものが開かれたのです。
その時の資料が、首相官邸の政策会議というHPにUPされているんですね。
で、そこに農林水産省(競馬)、国土交通省(競艇)、経済産業省(競輪・オート)という公営競技の所轄官庁から、ギャンブル依存症に対する取り組みについての資料が、嘘八百というか、よくこんな白々しいことを書けますね?
と突っ込みどころ満載のモノなんです。
怒り心頭になったこれら資料。是非ご覧いただきたいのですが、
まずこれが農林水産省による競馬におけるギャンブル等依存症への取り組み
競馬におけるギャンブル等依存症への取組
さらにこれが国土交通省による競艇におけるギャンブル等依存症への取り組み
競艇におけるギャンブル等依存症への取り組み
そしてこれが競輪・オートレースにおけるギャンブル等依存症への取り組み
競輪」・オートレースにおけるギャンブル等依存症対策
皆さん、いかがですか?
全く現実にそぐわないこと、すぐお分かりになりますよね。
こんな公営競技の二枚舌許されるものなんでしょうか?
やってもいないことなのに、とりあえず資料に書いたら、「こんな取り組みやってます!」ってことになるんですか?
公営競技で、相談窓口を置いて、治療を受けられる医療機関に繋いでいる?
一体、それ年間どれだけの件数が来て、どれだけの人を紹介しているんですか?
そんな電話番号はどこに記載されているんですか?
HPのどこを見たらそんなことが書いてあったんですか?
冗談じゃないですよ。
私は、依存症の診断を受け、自助グループに繋がり、来年2月で13年目になりますけど、今まで一人も「公営競技に電話をして相談した」なんて人に出会っていませんよ。
いや、むしろ昨年度開かれた超党派議員による勉強会でだって、「公営競技でギャンブル依存症になったという相談は1件も受けておりません!」と誇らしげに言い放ち、まるで公営競技ではギャンブル依存症になる人などいないと、胸を張ってきたのが、公営競技のスタンスだったじゃないですか。
私たち夫婦は、競艇でギャンブル依存症になったので、何言っちゃってるの???と苦虫噛みつぶす思いで、各省庁のご発言を見守ってまいりましたよ、これまで。
競艇が、国土交通省を中心に、各省庁と一体いつ連携を始めたんですか?
連携してどんな依存症対策やってるんですか?
教えて下さいよ!是非!
そして、どこの省庁もCMに配慮している?って、一体どこが?
素敵なタレントさんをバンバン使って、おしゃれな広告作って、呼びこんでいるのはどこのどなたでしょうか?と申し上げたいですね。
特に、我慢がならないのは競馬ですね。
先日の私のブログを是非お読み頂きたいのですが、いつの間に有馬記念は国民的行事になったのか?
新聞の全面広告から始まり、駅の構内、ネットのインパクト広告などなど、それこそ日本中有馬記念CMだらけでしたよ。
でありながら
「勝馬投票券の購入意欲を刺激するような表現などは、テレビCM等で使用できないよう厳しく規制。」って、
これだけ過度にしかも「国民的行事」とまで煽ってましたよね?
それは何のためなんですか?購買意欲を刺激するためですよね?
一体どこを厳しく規制したんですか?
仲間のギャンブラー、これら過度な広告で、
「購買意欲がそそられる」って、皆、申しております。
また競輪なんか「レース開催日数の制限」ってね、
この経済産業省の出している資料によればですね、年間333日開催してるんですよ。
制限って年間32日のお休みのことを指しているんですか?
「わぁ、年間32日もお休みを入れてくれて、依存症について考えてくれてるよね!」
って、真面目に国民が考えると思うんですか?
各競輪場の日数を抑えたとしても、ネット投票だったら全く意味がないですよね。
全レース場の車券が買えるんですから。
競輪・オートレースを巡る最近の状況(経済産業省)
もっと言えば、インターネットのレース中継、いつでも誰でも見れるようになってます。
投票には身分証明が必要だとしても、見るだけなら誰でもそれこそ小学生でも、
レースを眺めることは可能、そこに配慮なんてありませんよね。
突っ込みどころ満載のこんな資料で、国は「依存症対策をやっている」と認めるのでしょうか?
こんな閣僚会議で、ギャンブル依存症対策を決めるつもりなのでしょうか?
国は、保身や言い訳でなく、今からどれだけ良い対策が作れるか?
ごまかさず真摯に向き合って下さい。
こんな内容がいい加減で、いい加減な対策なら、
IRの実施法なんか絶対通せないぞ!と思います。
しかしなんのために閣僚会議を開き、こんな見え透いた資料を出すのでしょうか?
これからの対策を作るために集まっているのであって、過去に何もやって来なかったことを責めるわけではないですよね?
これだけのギャンブル依存症者が蔓延している訳ですから、いい加減ここでご自分たちの失策を認めて下さい。
認めて貰わないと良い法律なんて作れるわけがありません。
是非、真摯に現実を受け止めて頂けるよう、切に願います。
編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2016年12月28日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。